Heteroptera

2009年11月 3日 (火)

日本のアカヘリカメムシは誤同定かも知れない

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【写真は波照間島で撮影したコフウセンカズラ(ムクロジ科)の上のアカヘリカメムシ(ヒメヘリカメムシ科)】

 最近、下記の文献(河野・高橋,2006)を読んだと思われる外国人研究者二人から立て続けに電子メールが届いた。一人はアカヘリカメムシとフチベニヘリカメムシの標本が見たいと言ってきている。もう一人はアカヘリカメムシのLeptocoris augurLeptocoris vicinusの誤同定ではないかと言っている。台湾ではLeptocoris augurはもっと明るいオレンジ色のような色でタイワンモクゲンジに寄生し、Leptocoris vicinusはコフウセンカズラに寄生しているという。ここに示した写真はコフウセンカズラに寄生していたもの。八重山諸島でみられるアカヘリカメムシはコフウセンカズラとアカギモドキに寄生しているのを確認している。タイ国に出張したとき、アカヘリカメムシだと思われるものを見たが、それは赤色というよりはオレンジ色と言える色だったが、単なる色彩変異だと思っていた。ぼくは分類学に関しては素人なので、事の真偽はわからない。今後の研究の進展の経過を見守りたい。

文献
・河野勝行・高橋敬一 (2006) 八重山諸島におけるアカヘリカメムシとフチベニヘリカメムシ(カメムシ目:ヒメヘリカメムシ科)の生態と分布.Rostria (52): 72-74.(英文要約付き)

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2009年9月19日 (土)

小学校の校庭で見かけた虫・・・ヨコヅナサシガメなど

 今日は三男坊の運動会だったので小学校に出かけた。天気は良かったが、台風14号のせいか、風が非常に強く、乾燥していて、砂埃が舞って大変だった。
 昼食は桜の木の木陰で弁当を広げた。ふと桜の木の幹を見ると、イラガの幼虫らしきものが妙な格好で引っ付いていた。近くに寄ってみると、ヒロヘリアオイラガと思われる幼虫が、ヨコヅナサシガメの幼虫3頭の口吻に刺されてぶら下がっていた。ヨコヅナサシガメは集団で狩りをするハンターだ。詳しい事は井上弘さんが京都大学の大学院生だった頃に研究している。このイラガの幼虫も、1頭のヨコヅナサシガメでは仕留められなかったかも知れない。
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 他の桜の木の下では何人かの小学生が「毛虫だ!毛虫だ!」と騒いでいた。よく見てみると、モンクロシャチホコの終齢幼虫がたくさん地面を這っていた。イラガの幼虫を触るとえらい目に遭うが、毛が生えていてもモンクロシャチホコの幼虫は手で触っても何ともない。勇気ある小学生は、モンクロシャチホコの幼虫を手で掴んでいた。
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2009年7月15日 (水)

いしもりよしひこ(石森愛彦)著『うちの近所のいきものたち』

いしもりよしひこ(石森愛彦)著『うちの近所のいきものたち』
2009年6月29日発行
ハッピーオウル社
ISBN978-4-902528-34-3 C0045
1500円+税

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もくじ
 はじめに
4月 春です。チョウがさかんにとびはじめました!
 アブラムシ退治はテントウムシの幼虫で!
5月 カメムシいろいろ
 クズの虫たち
 このアオムシはなんの幼虫でしょうか?
 カマキリ誕生!
6月 ビオトープで見られるトンボ
 コウガイビルってしってる?
 アゲハの羽化を見よう!
7月 虫はだいすきヤブガラシ
 カナヘビを飼ってみました
 ヤモリは夜、でてきます
8月 セミがなきたててこそ、日本の夏!
 8月は虫にとっても暑い!
 夕方、コウモリがとびまわります
9月 夜、コオロギたちの合唱です
 ガガンボ出現
10月 赤トンボが急にふえます!
 この時期のカマキリ
11月 晴れた日には、まだチョウがとぶけれど
12月 ベランダに小鳥をよんでみました
1月 冬の虫さがし
 冬、カモの集まるところ
2月 「メスしかいない?」冬のヒゲジロハサミムシ
 こんな鳥が1羽だけ、いました
3月 ヒキガエルの卵とオタマジャクシの観察


 著者の石森愛彦さんから新刊を贈っていただいたので紹介したい。
 著者の石森愛彦さんは多才な方なので、なんという肩書きにしたら良いのか迷うのだが、とりあえずイラストレーターであることは確かだ。昆虫関係では、吉村仁先生の著書『素数ゼミの謎』の挿画を描かれている。
 石森さんには、出版社の方と一緒に、一昨年の4月に我が家を訪ねていただいた。子供向きにハサミムシの本を作りたいということで、ハサミムシの生態について色々お話をしたのだった。それだけでは十分ではなく、その年の7月には電話をいただいて、またハサミムシの話をした
 結局、ハサミムシの話だけで本を作るという計画は立ち消えになってしまった、とその後伺っていたのだが、その代わりに(というわけでは無いと思うのだが)ハサミムシの話が盛り込まれてできたのが本書『うちの近所のいきものたち』だと思う。
 石森さんは、東京都板橋区の街中にお住まいだ。本書には、石森さんのお宅の近所の生き物が、一年を通して描かれている。板橋区には大きな公園もあるとのことだが、ここに登場するのは、石森さんのお宅と、その近所にある学校のビオトープで見られる生き物だ。だから、特別に珍しい生き物が登場するわけではなく、ごく普通に見られる生き物が主役となっている。哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類も登場するが、主役はやはり昆虫だ。描かれている昆虫の種類も多岐にわたっているが、冒頭に書いたように、無視されることが多いハサミムシ(ヒゲジロハサミムシ)についても、きちんと描かれているところが嬉しい。
 季節は4月から始まり3月で終わっている。この一年を通して、"石森流"の観察術が描かれている。添えられている言葉も、"石森流"だ。アゲハの幼虫の飼育のところでは、『さなぎからこんな虫がでてくることもよくあります。寄生バチと寄生バエです。さまざまないきものがすんでいる地球、しかたありません。』とか『羽がきれいにのびないこともあります。「目の前で見る」とは「成功の保証がない」ということ。だからこそ感動するんだと思います!』とか書かれているが、これは自然の捉え方や感じ方としては極めて正しいと思う。様々な普通に見られる生き物に対して、しっかりした観察がなされており、それが"石森流"の表現で、実に効果的に描かれていると思う。
 都会で生き物の観察をするのは難しいような気もするが、この本を読んでいると、どこに住んでいても生き物の観察はできるものだと感じさせられる。
 本書はイラスト満載の本で、写真は一切載っていない。しかし、イラストは丁寧な観察に基づいて実物に忠実であるので、下手な写真よりもよほど説得力があると思う。生き物の観察のためのガイドブックとしても、本当にお薦めだと思う。

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2009年6月 6日 (土)

出張のあとで・・・初めて国立科学博物館へ

 昨日は職場である研究所が主催する某プロジェクト研究の成果発表会である研究会が東京で開催された。今日は休日なので、東京に泊まって、これまで「行きたい!行きたい!」と思いながら果たせていなかった国立科学博物館に行くことにした。
 上野駅の公園口を出ると、すぐ前が東京文化会館で、その北隣が国立西洋美術館だ。国立西洋美術館では「ルーブル展」が開催されており、入館を待つ長蛇の人の列ができていた。さすが東京である。人が多い!
 国立西洋美術館の入館を待つ人の列を見ながら歩くと国立西洋美術館の裏手にあるのが国立科学博物館だ。こちらは人はまばらだった。これを見ただけでも、日本人の科学への興味の低さを実感できる。
 国立科学博物館の建物は風格のあるものだった。
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 内部は奇麗に改装されているが、建物そのものは歴史を感じさせる荘厳なものだった。
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 この風格のある建物は地下1階、地上3階建ての「日本館」で、その奥にある「地球館」は地下3階、地上3階建ての比較的新しい建物だった。「地球館」3階から「日本館」を見るとこんな感じ。
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 国立科学博物館を訪れるのは初めてだが、さすがに「国立」というだけあって規模は大きく、とても1日ですべてを観ることは不可能のように思われた。とにかく、自分が特に興味を持っている自然環境と天文に関するところを重点的に観て、その他はざっと流して全体像を把握できるように努めた。
 入館した時刻は開館直後だったので人もまばらだったが、徐々に人が増えてきて、やはり東京は人が多いと感じさせられた。昼食は館内のレストランで食べたが、ちょっと遅めに時間を外したつもりだったにもかかわらず30分ほども待たされた。100食限定、という言葉に釣られて「オムハヤシ」を食べたのだが、ちゃんとしたレストランと較べれば、遥かに凡庸な味だった。700円という値段ではそんなものかも知れない。
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 展示を観て気になることがひとつあった。学名が問題になっているナナホシキンカメムシとハラアカナナホシキンカメムシのことだが、「日本館」に展示されていたこの2種の学名が、図鑑に掲載されているものとは逆になっていた。ぼくもこの扱いが正しいと思うのだが、ちゃんと論文で訂正されたのかどうかは不明のままだ。この展示の責任は国立科学博物館のT部長に違いないと思うので、一度質問してみたいと思う。
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 最後にミュージアムショップで少し買い物をして、午後2時半頃に館を後にした。中身もかなり濃いものだったので、肉体的にも気分的にも疲れを感じた。
 そのあとは秋葉原に出て、月に1回開催されているアマチュア無線家の懇親会に出席した。もちろん、この集まりに出るのは初めてのことだ。ネット上で名前(コールサイン)だけを知っている人に直接お会いすることができ、直接情報を交換することができ、楽しい時間を過ごすことができた。
 この会合が行われているのは秋葉原駅ビルに隣接する電波会館内の「炭火珈琲庵 古炉奈」という喫茶店の「会議室」だが、この店が今月中旬に閉店することになり、来月からは場所を変えて行われることのことだ。「炭火珈琲庵 古炉奈」はぼくが結婚したばかりの頃、妻と二人で一度だけ入ったことがあり、秋葉原の喧噪の中にありながら、落ち着いた雰囲気で美味しいコーヒーが飲めるオアシスのような場所だと感じたのだが、閉店するというのは大変残念なことだ。会合に出席するひとは席が予約されていたので問題なかったのだが、一般の人は入店待ちの列を作っていた。3階まで登る階段の1階まで列ができていて驚いた。閉店前にもう一度入っておこうという人が多いのだろうか?

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2009年4月11日 (土)

2009年今年初めていつもの里山へ行く・・・エサキモンキツノカメムシ

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 この場所へはちょくちょく通っていたのだが、今年になってから来たのは初めてだ。NPO法人の人が手を入れていて、それなりに管理されている。今日行ってみたところ、下草が見事に刈り払われていた。ちょっと手を入れ過ぎのように思えた。写真に写っている木の多くはクヌギで、いつもクヌギカメムシを見に来ていたのだが、いくら探してもクヌギカメムシは見つからなかった。もう産卵されていた場所から移動してしまったのかも知れない。
 ちょっと離れた場所で何気なくヤツデの木を見ると、エサキモンキツノカメムシがヤツデの果実から吸汁していた。さすがに暖かくなったので、エサキモンキツノカメムシも越冬場所を離れて活動を始めたのだろう。
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2009年初めてのコブハサミムシの観察

 ここ数日暖かい。職場からバイクで10分ほどしかかからないのに、忙しくてなかなか見に行けなかったのだが、やっとコブハサミムシの観察に行けた。今年は例年(と言ってもまだ2年分ぐらいしか知らないのだが)より見つかるコブハサミムシの個体数が少ないように思える。やっと見つけたコブハサミムシは、幼虫は既に孵化しており、まだ成虫を食べていなかった。実に微妙なタイミングに思えた。
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 帰り道、途中に墓地があり、便所があるので、そこを覗いてみた。別に変な趣味があるわけではない。この便所は、冬場のカメムシの越冬場所になっているのだ。さすがにもう暖かくなっているので、外に出てしまった個体も多いだろうと思うのだが、まだ便所の中にも生きているクサギカメムシがいた。床にはクサギカメムシのほか、フクラスズメの死骸も落ちていた。冬の間に力尽きてしまったのだ。
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2009年3月30日 (月)

第53回日本応用動物昆虫学会大会・3日目

 ぼくが泊まっているホテルは北海道大学の正門のすぐ前だ。学会の会場は、ここから歩いて20分ほどかかる「高等教育機能開発総合センター」なのだが、さすがに大学に近いこともあり、学会参加者がたくさん泊まっているらしい。1日目はつくばの某研究所のKさんと一緒に雑談をしながら会場に向かった。
 今朝も食事を摂るためにロビーに行ったら、某A名誉教授と農水省研究機関のOBの某Sさんが雑談しておられた。ぼくもそれに少し混ぜていただいた。公的機関の厚生経費はどこもバッサリ切られて余裕がなくなるから鬱になる人が多いんだ、とか、期間を切られたプロジェクト研究ばかりになるし、短期間に成果(≒論文)を出さないといけないし、だからと言ってプロジェクトを取らなければ研究費も無いし、プロジェクトを取ったは良いが、書類書きで研究などはできなくなるからポスドクを雇って仕事をやらせなければいけないし、そういうポスドクも年齢が上がって行くとますますパーマネントのポストに就けなくなるし、とか、だから何十年もデータを取らなくては結果が出ない研究など現役世代ではできないから、こういう研究は定年になったOBがやったら良いんではないか、とか。まあ、ようするに、将来を見た政策がとられていない状況では、現状は決して良くないという話が多かった。実感として納得できる話が多かった。下手な学会講演を聴くより大切なことかも知れない。現状は決して良い状況ではないと思うが、公務員試験に通って今の職に就いて、ちゃんと給料を貰っている自分は、ポスドクを渡り歩いて、なかなかパーマネントの職に就けない若い人よりは幸せなのだろう。
 某A名誉教授と某Sさんが部屋に戻られたあと、コーヒーを飲んでいたら某県の研究員のMさんもおいでになった。今日、朝一番での講演があるとのこと。
 今朝はまず「高等教育機能開発総合センター」ではなく農学部に向かう。農学部は正門を入った正面にあり、北海道大学の中でも一番良い場所にあるように思える。さすが、札幌農学校からの伝統のある大学だ。
 農学部は風格のある建物だ。2004年の9月の昆虫学会の時にも農学部にいたかつての同僚を訪ねてこの建物に入ったのだが、その時は大変古い歴史が感じられる内装だった。ところが、今日入って驚いた。玄関こそ古めかしさを感じさせるものだったが、内装は近代的に改装されていた。
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 目指す場所は昆虫学教室。そこにある松村コレクションのカメムシを見るのだ。松村とは、言うまでもなく、昆虫学教室初代教授の松村松年(まつむら・しょうねん)のことだ。まずは、連絡を取っておいたYさんを訪ねて標本室に案内していただく。意外なほど狭い場所だったが、標本の大部分は総合博物館に移されたとのことだった。鱗翅目や甲虫など、目立つものは総合博物館に移され、残っているのは言わばマイナーな分類群であるとのことだ。
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 そこでしばし標本箱を物色し、目指すカメムシを探す。ほどなく見つかり、いろいろ写真を撮る。タイプ標本の箱も見るが、今ではシノニムとなって無効名になったものも多い。
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 色々見ていたらお昼近くになってしまい、Yさんに挨拶をして、昆虫学教室を後にして「高等教育機能開発総合センター」に向かう。
 学食で昼食をとり、午後からは「カンキツグリーニング病小集会~虫媒伝染と防除~」に出る。3題の話題提供があり、どこまでカンキツグリーニング病の実体の迫ることができているのか、ということをだいたい理解することができた。日本からのカンキツグリーニング病の根絶は難しいのではないかと思っていたが、地域(島)レベルでの根絶は不可能ではない、という力強い発言もあり、今後の進展に期待させられた。
 小集会が終わったあとは、一旦ホテルに戻って休憩したあと、カンキツグリーニング病小集会のメンバーとの懇親会に参加した。串焼きの店だったが、水を使わずに蒸し焼きにする鍋もあり、それなりに美味しかった。言葉で説明するより、写真で見せた方がわかり易いと思うので、鍋の料理の手順を示す。
 まず、土鍋に奇妙な形の蓋をして中火で蒸し焼きにする。
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 火が通ったところで火を止めて、布巾をかけて蒸らす。(後ろに写っているのは、某研究所のOさん)
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 蓋をあけると、奇麗に出来上がり。
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 料理はともかく、昼間の小集会では話しきれなかったことを議論する。アルコールが入ると、いろいろ本音も出て来るので、やはりこういう機会も必要だ。もうミカンキジラミとカンキツグリーニング病の研究から離れて5年にもなるので、新しい人は知らない人も数名おり、名刺を交換する。問題が大きいだけに、研究に携わっている皆さんの意気込みが十分に感じられた。カンキツグリーニング病の問題は早く片付けたい問題だが、来年もこのテーマでの小集会をもち、盛り上げて欲しいものだ。
 会もお開きになり、二次会に向かうメンバーもいたが、ここで失礼してホテルに戻った。

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2009年2月24日 (火)

本物のDysdercus philippinus

 昨日、シンポジウムの打ち合わせの前、打ち合わせの場所となった某研究所の標本館に早目に到着し、カメムシの標本を見せていただいた。石垣島に住んでいたときのことだから、もう6~7年も前のことになると思うのだが、一度ここのカメムシの標本は見せていただいている。
 その時には見つけることができなかったが、今回ついに見つけてしまった。何を見つけたかと言えば、本物のDysdercus philippinusの標本だ。Dysdercus philippinusの学名は、日本で出版されている文献では、シロジュウジカメムシに充てられているが、これが誤同定であることは海外の研究者から指摘されている。だが、それを訂正するのは(少なくともぼくにとっては)非常にやっかいな手続きがある。いずれ何とかしなければいけないのだが。
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 これが本物のDysdercus philippinusのはず。おそらくフィリピンの固有種で、ルソン島以外には棲息していないかも知れない。とにかく情報不足なので、もっと情報が欲しい。

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2008年12月16日 (火)

蛹からはいつも蝶が出て来るわけではない

 石森愛彦さんからお手紙をいただいた。カメムシの写真が一枚入っており、名前を教えて欲しいとのこと。そのカメムシは日本の図鑑には載っていない種で、まだ学界にも正式に報告されていないものだと思う。たまたまカメムシBBSに写真が載っていたので、南西諸島に棲息するアシビロヘリカメムシに近縁なLeptoglossus occidentalisというヘリカメムシの一種だということがわかったが、どういう理由で東京の街中で採れたのか謎だ。アメリカ原産の種で、近年ヨーロッパに侵入し、針葉樹の種子を加害するので問題になっているらしい。
 カメムシの写真と一緒に、石森さんの出版物のコピーがいくつか添えられており、『ようちゅうボウヤのとりこしぐろう』のその後の経過のお知らせもあった。なかなかうまくいかないとのこと。
 同封されていたコピーのひとつ、『「虫の本」より「本物の虫」』というエッセイ(北海道子どもの本連絡会『ひろば』No. 106, 2008年9月)には大いに同感した。
 今の人は、本物の虫を見るより、本やテレビなどを通してみる方が好きな人が多いのではないかと思うが、それは本当の「虫を見る楽しみ」を放棄しているのではないか、という趣旨だ。テレビで見ると、蛹からは必ず蝶が羽化し、きれいに翅を伸ばす。ところが、実際にはそうならないことの方が多い。野外から蝶の幼虫を採集して飼育したら、蛹から蝶ではなく、ハチやハエが出てきた、という経験を持っている人は少なくないと思う。でも、テレビではそういう場面を映すことは滅多に無い。テレビが寄生蜂や寄生蝿を映さないのは、それが「あって欲しくないもの」であることを示しているのではないかと思う。
 冷静になって考えれば、産まれた卵が途中で死なずに全部蛹になって、それから全部蝶が羽化してくると、世界中が蝶で埋め尽くされてしまうと想像される。しかし、現実にはそんなことにはならず、平均的には、1頭の雌が産んだ卵から、1頭の産卵できる雌が生き残っていることになっているはずだ。それまでに、風雨にやられて死んでしまうものもいれば、寄生蜂や寄生蝿にやられて死んでしまうものもいて、やっと「1頭の雌が産んだ卵から、1頭の産卵できる雌」という状況が実現される。
 立場を変えて、寄生蜂や寄生蝿の側から現象を見るのも面白いと思う。いかにしてうまく寄生に成功しようかと、寄生蜂や寄生蝿は様々な策略を巡らしているはずだ。近年、施設野菜などでは「天敵農薬」として、寄生蜂が利用されるようになってきた。化学農薬の代わりに、寄生蜂を利用して害虫を殺そうというものだ。農業害虫研究者は、いかにして寄生蜂が効率よく働いてくれるようにするか、ということを追求している。
 いずれにしても、本に書かれたものや、テレビで見たものより、実物の虫を見ることほどワクワクすることはない。ぼくがフィールドに出る原動力はそこにある。何か見ることができるのではないか、と。そういう愉しみを多くの人が知ってくれればなぁ、と思う。

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2008年11月17日 (月)

獣の糞に集まるフンバエ

 今日は週に2回の調査の日だ。ヒメジュウジナガカメムシは11月6日を最後に、もう姿を見かけなくなってしまった。タヌキと思われる獣の糞がある場所には、やや新しい糞が増えていた。これまでも、1頭、2頭ぐらいは見られていたのだが、今日は10頭近いフンバエの仲間が集まっていた。フンバエの種名はよくわからないが、ヒメフンバエではないかと思う。獣の糞の表面には、無数の白い粒が見える。おそらくフンバエの仲間の卵だろう。フンバエの生態についてはよく知らないのだが、これから冬に向かうというのに、この糞を利用してゆっくり成長していくのだろうか。それとも、冬が来る前に急速に成長して、冬になる前に蛹が成虫になるのだろうか。獣の糞をいじるのはあまり気が進まないが、これから暫くの間の観察の楽しみになるかも知れない。
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