写真・カメラ

2012年11月10日 (土)

谷本雄治著『週末ナチュラリストのすすめ』

谷本雄治著『週末ナチュラリストのすすめ』

岩波科学ライブラリー 193
ISBN978-4-00-029593-2
1,500円+税
2012年5月25日発行
118 pp.

目次
まえがき
第1章 見る
 生きている博物館/木の幹じろじろ宝探し/出会い頭にライオン級!/一点豪華もまた楽し/たまにはナイトウォーキング
 コラム1 お役立ちグッズ
第2章 拾う
 みすゞコレクション/古着の探偵団/死んでいたってボロだって/空クジなしの海岸歩き/手わざ磨いてプレゼント
 コラム2 ものぐさ流整理法
第3章 撮る
 ものぐさ御用達カメラ/目は口以上にものを言う/玄関立ちんぼ撮影術/ホントの顔はどこにある?/整理だけはいくらかマジメに
 コラム3 スキャニング図鑑
第4章 飼う
 米とるだけが田んぼじゃない/スネーク・ゼリーの魔力/いつのまにか生態園/ペットボトルの飼育術/シルクロードに思いをはせて
 コラム4 万能飼育フーズ
第5章 知る
 アリストテレスが提灯ぶら下げた?/山海名物博覧会/コオロギが国を滅ぼす/天から降ってきたオカリナ/本のこてしらべ
 コラム5 「自由研究」の研究

 著者の「谷本雄治」という名前を見て、「えっ!あの人なのか?」と思った。
 ボクはこれまでに3回ほど「谷本雄治」さんからボクの研究に関して取材を受けている。その「谷本雄治」さんは日本農業新聞の記者(現在は論説委員)である。今まで何人かから取材を受けたことがあるのだが、「谷本雄治」さんほどセンスが良い質問をしてくる人は他にない。生き物のことをよく知っているのである。
 本書の著者紹介のところを見ても、職業については書かれていない。「自称、プチ生物研究家」とあるだけである。しかし、本書の著者の「谷本雄治」さんは、日本農業新聞の「谷本雄治」さんであることは、ほぼ間違いないと思った。
 本書には、身近な生き物とつきあい、それを楽しむことがが誰にでもできることが書かれている。自然観察というと、深山幽谷にでかけなければできないように感じる人も多いかもしれないが、本書を読めば、そんなに遠くに出かけなくても、都会においても普段の生活圏の中で、自然観察を楽しむことができることがわかる。自然観察など難しいと考えずに、とにかく楽しんでしまおう、と本書は誘っているようである。
 これまで自然観察などしたこともない、という人には特にオススメ。

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2012年7月28日 (土)

時間も金も無駄にしてしまった(2012年7月28日)

 トラップに入った虫を回収するために朝バイクで職場に出かけた。さっと仕事を済ませて家に帰ったところ、腰に付けていたコンパクトデジカメのケースの中身がほとんど全て無くなっているのに気付いた。
 一縷の望みを託して職場に逆戻りしたところ、職場から1kmほどの地点の路上にデジカメを発見した。片道10kmちょっともあるので、見つかっただけでも奇蹟的である。その他、充電池やカードリーダも入っていたが、それらも近くに散乱していたが、それらのほとんどは車に轢かれてバラバラになっていたり、変形したりしていた。SDメモリカードも回収できた。変形した充電池を入れたところ、何となく動作しているように見えたが、SDメモリカードを挿入しても、「カードが異常です」というメッセージが出るだけであった。
 とにかく、回収できるものは回収して帰宅した。これに要した時間は50分ほど。
 帰宅してからは正常な充電池をカメラに入れ、新しいSDメモリカードを入れてみたのだが、やはりカードは認識されなかった。そればかりか、新しいカードも壊れて、他のカメラやパソコンからも認識されなかった。
 一見動作しているように見えたカメラは、結局そのままゴミ箱行きということになり、メモリカードもゴミ箱行きになった。
 このカメラ(Canon PowerShot A495)は安かったが、単三型の充電池が使えて、そこそこ拡大もできて重宝していたので、悔しかった。
 帰ってからネットで検索したら、まだ売られていたので、迷うこと無く同じものを発注した。最初に買った時より、かなり安くなっていたので、少し助かった。充電池やカードリーダは近所の家電量販店で調達した。総額11,000円ほどの出費。ちょっとした不注意が招いただけに悔しい。

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2012年5月19日 (土)

岩合光昭どうぶつ写真展@四日市市立博物館(2012年5月19日)

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 四日市に所用があったので、四日市市立博物館で開催されている特別展「岩合光昭どうぶつ写真展」を見てきた。岩合さんの写真は以前から好きだったが、写真展を見るのは今回が初めてである。
 展示されている写真の、本来は写真の題名が書かれているはずの場所には、題名も解説も書かれておらず、その代わりに岩合さんの「自然の動植物の繋がりが大切ですよ」というメッセージが書かれていた。動物の写真を通して生物多様性を維持することの大切さを訴えているような感じである。
 会期は6月24日まで。一般700円、大学生・高校生500円、中学生以下無料。かなりお勧めである。常設展は入場無料だが、それはイマイチであった。

 ところで、ここに行く前に昼食をとったわけだが、四日市と言えば「トンテキ」である。入ったのは近鉄四日市駅の近くの中華料理屋「一楽」。ランチタイムでトンテキ定食が1,050円であった。なかなか美味しかった。
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【2012年5月20日追記】
四日市市立博物館は「博物館」という名前がついているものの、自然科学系はプラネタリウムと地学系がわずかにあるだけである。博物学の王道とも言える動植物については全く展示がない。ボクが四日市市立博物館に魅力を感じなかったのは、このあたりに原因があると思う。

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2012年5月12日 (土)

金環日蝕の撮影の準備完了(2012年5月12日)

 来る5月21日の金環日蝕に備え、撮影用のフィルタを準備した。フィルタは市内の天文専門店「アイベル」(なぜ津市のような地方都市に、このような充実した天文専門店があるのか不思議である)で買ってきたA4版のペラペラの薄いフィルタを加工して、撮影用のレンズの前に装着できるようにした。自分用のを一つ、三男坊用のを一つ作り、余った分で肉眼観察用の眼鏡を作った。
 早速試し撮りしたところ、けっこう大きな黒点があるのがわかった。あとは、当日晴れてくれることを祈るのみである。
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2010年9月12日 (日)

全日本大判写真連盟第14回写真展@三重県立美術館

 妻に誘われて三重県立美術館の県民ギャラリーで開催されている「全日本大判写真連盟第14回写真展」に出かけた。すべて大判カメラで撮影されたものばかりである。ほとんどが風景写真であったが、大きく引き伸ばされた写真には立体感や臨場感が感じられた。
 大判写真はカメラは大きなフィルムを使うカメラであるから、カメラ自体も大きくなり、手軽に撮影できるようなものではない。それに、フィルム自体も大きいので、フィルムにもカネがかかる。だから、撮影も慎重になるし、それだけ時間がかかることになる。だから、贅沢な趣味だと思う。
 大判フィルムは、4×5インチの小さいものから、5×7インチ、8×10インチ、さらには11×14インチという大きなものもある。印画紙に焼き付けられた写真だけでなく、フィルムの実物も置かれていたが、11×14インチのフィルムはとてつもなく大きく、こんなフィルムを使うカメラはどんな大きさなのか、想像もつかない。会場には実物の大判カメラも置かれていたが、それは4×5インチのものだった。この一番小さなサイズのカメラでも、我が家には置き場所に困るほどだ。

 会場からの帰り道、とある公園を通ったら、葉の色が抜けたプラタナスを見つけた。葉を裏返したら、予想通りグンバイムシが群がっていた。プラタナスグンバイである。侵入昆虫としてよく知られているが、実際に目にしたのは今日が初めてである。
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2010年7月29日 (木)

新開孝著『ぼくは昆虫カメラマン』

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新開孝著『ぼくは昆虫カメラマン 小さな命を見つめて』

岩崎書店
ノンフィクション・生きるチカラ3
ISBN978-4-265-04289-0
1,300円+税
2010年8月10日発行
152 pp.

目次
まえがき−ヘッセ「少年の日の思い出」との出会い
教育映画の仕事[ミミズのうんち/昆虫カメラマンへのあこがれ/馬糞にまみれて/ミミズの撮影の工夫]
池上本門寺のアカスジキンカメムシ[昆虫雑誌「インセクタリゥム」/カメムシとぼく]
アリスアブとの出会い[ナメクジ歩きをする奇妙な生き物/もう一種類のアリスアブ/すみわけ/幼虫、発見!/成虫のくらし/クリ林での発見/月刊誌「アニマ」]
カマキリモドキ撮影記[初めて買った自家用車/カマキリとクサカゲロウの合体生物(キメラ)/不思議な生活/深まる謎]
ウスタビガの繭[ケヤキの梢で/羽化の撮影]
身近な自然を見つめて[散歩の楽しみ/チビアメバチの秘密]
九州の自然[あこがれのダイコクコガネ/雑木林のある家で/常緑照葉樹の森へ]
あとがき

 昆虫写真家・新開孝さんから新刊を贈っていただいたので紹介したい。
 新開さんと初めてお会いしたのは、ぼくが石垣島に住んでいた2002年頃のことだったと思う。何を見に行った時だか憶えていないが、石垣島白水の谷に入ろうとしていたときのことだったということだけは確かである。車で白水の入り口に向かおうとしていたら、地面に這いつくばって写真を撮っている人物がいた。虫の写真を撮っていることは確かだと思われたので、声を掛けて少し話をしたところ、それが新開さんだということがわかった。
 ぼくにとって昆虫写真家と言えば、年齢順にまず栗林慧さんであり、次に海野和男さん、さらに今森光彦さんであった。栗林慧さんはぼくより20歳年上、海野さんは一回り年上、今森さんは5歳年上である。それぞれ作風が異なり、誰が一番とは言えないが、これらの写真家の作品にはぼくの心に訴えるものがある。
 石垣島で新開さんとお会いした時、新開さんのことは知らなかった。その後、「里山 昆虫ガイドブック」(2002年)、「里山 蝶ガイドブック」(2003年)などを見て、新開さんもぼくの心に訴える写真を撮る方であるということがわかった。新開さんの作品は、決して珍しいとは言えない身近に見られる虫の、あまり知られていない暮らしの部分を捉えたものが多い。昆虫の生活史の解明に焦点を当てたところは、ぼくが昆虫を見ることに関して心がけていることと共通する。新開さんの写真の光の使い方も穏やかで、自然な感じを与えてくれる。そういうことで、新開さんの作品を知って以来、新開さんも、栗林さん、海野さん、今森さんと肩を並べる実力者であると理解した。新開さんはぼくより1歳年上。ほとんど同世代である。ついに自分と同世代の昆虫写真家の大物が登場したと思った。
 本書は、そういう写真を撮る新開孝という写真家がいかにして作られたか、ということが書かれている自伝のようなものとも言える。これまでに新開さんが歩んできた人生の中で出会ったキーになる虫を中心に、そのとき新開さんが何を感じて、どのように行動して、どのような新しい発見があったかが紹介されている。昆虫の生活史の中での新しい発見をすることが紹介されている部分は、昆虫観察のための方法のガイドブックのような役割も果たしていると思う。
 本書を出版してる岩崎書店は、子ども向きの本をたくさん出している出版社である。本書には漢字に振仮名がつけられており、また子どもにもよくわかるような語りかけるような文章で書かれているので、小学校の中学年程度でも楽しむことができるし、ぜひともまだ若い人に読んでもらいたいと思う。もちろん、大人が読んでも「なるほど」と感じさせられることが多い。
 新開孝さんのウェブサイトはこちら。 こちらのブログ『ひむか昆虫記』はほとんど毎日、新しい写真と文章が掲載されている。

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2010年5月29日 (土)

Tsu Family Land 浅田政志写真展@三重県立美術館

 妻に誘われて三重県立美術館で開催されている「Tsu Family Land 浅田政志写真展」に行ってきた。会場までは昼食後の15分ほどの散歩のようなものである。
 浅田政志氏は1979年生まれで、2009年に第34回木村伊兵衛写真賞を受賞した津市出身の写真家である、ということは、ついこの前まで知らなかった。
 美術館での催事はほとんど興味がわかないのであるが、いろいろな人の評判を聞いて、何となく行ってみようという気になった。
 展示されている写真のほとんどは、浅田政志氏と浅田家一族が写ったものである。ただ写っているだけではない。それぞれの写真では、全員がすべて何かに扮装しているのである。いわば、究極の家族一族ぐるみのコスプレ。すごい着眼点である。着眼点もすごいが、家族の演技もきまっていて素晴らしい。脱帽した。
 会場では仕事でお世話になっている有機栽培農家のTさんと思いがけずお会いした。娘さんにせがまれておいでになったとのこと。満足して帰られたのではないかと思う。

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2010年4月24日 (土)

家族写真を撮ってもらった

 この春、次男と三男がそれぞれ高校と中学に進学したということもあり、妻の提案で家族写真を撮ってもらうことにした。行き先は近所の写真館。ちゃんとしたスーツを着たのは3年ぶり。どんな出来上がりか楽しみ。

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2009年7月31日 (金)

オリンパスOMシリーズの生みの親亡くなる

 今朝の新聞を見たら、米谷美久(まいたに・よしひさ)氏の訃報が載っていた。76歳。まだそれほど歳でもない。米谷氏はハーフサイズカメラのオリンパス・ペンシリーズと、一眼レフカメラのOMシステムの設計者として名高い。直接の設計者でないにしても、デジタルカメラのEシステムの思想にも影響を与えていることは間違いないだろう。
 ぼくが持っている一眼レフカメラはOMシステムだ。OMシステムはよく考えられたシステムで「バクテリアから宇宙まで」のキャッチフレーズで、何でも撮ることができると謳われていた。ぼくは、マクロレンズで昆虫をたくさん撮った。「撮った」と過去形で書いたのは、石垣島を離れて以来、被写体がなくなり、撮らなくなってしまったと同時に、デジタルカメラで済ませてしまっているから、OMシステムを使わなくなってしまったからだ。OMシリーズのボディは小型で、ダイヤルやボタンが使いやすく配列されている。またゆっくりとOMシリーズのボディにマクロレンズをつけて虫の写真を撮りたいものだ。
 それはともかく、生みの親の逝去に合掌。

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2009年5月12日 (火)

OM-3Ti

 このブログの"My favorite blogs"に挙げてある「野田俊作の補正項」の5月9日の記事をみて、「お主、やるのぉ」と思った。ブログの主の野田俊作先生は、この世に5000台程度しか存在しないと言われているオリンパスのフルマニュアル一眼レフOM-3Tiをお持ちだのだ。実はぼくも1台持っている。石垣島在住時代にはそれなりに活躍していたのだが、こちらに引っ越してきてから写真をほとんど撮らなくなってしまったので、防湿箱の肥やしになってしまっている。使ってやらなくては、と思うのだが、写真へのモチベーションが下がったままだ。
 石垣島在住時代には、OM-4Tiにはコダクロームを入れて、OM-3Tiにはフジクロームベルビアを入れて、OM-2Nにはフジクロームアスティアを入れて、というように、オリンパスOMシリーズは大活躍だった。撮る対象を考えて、フィルムも使い分けていたのだ。こちらに引っ越して、撮る対象が無くなってしまったということは、本当に寂しい。
 OM-3Tiのメーカー希望小売価格は20万円だった。これだけのお金を出せば、オートフォーカス一眼レフの中級以上の機種が買えた。それをあえてフルマニュアル(フォーカスはもちろん、絞りもシャッター速度もマニュアルである)のメカニカル(露出計以外は電池がなくてもちゃんと動く)のカメラを買うわけだから、OM-3Tiの所有者にはそれなりのこだわりがあるのだと思う。
 ぼくは欲しくて仕方がなかったのだが、なかなか踏ん切りがつかず、なかなか買えずにいた。ところが、ジリジリと実売価格が下がって14万円ほどになったとき、「買い時は今だ」と思って、清水の舞台から飛び降りる気持ちで金をはたいて買った。
 OM-3Tiは今でもそれなりに人気があるらしく、中古の販売価格は15万円程度で、ぼくが新品を買った価格よりも高い。もっとも、買い取ってもらうとすると、そんな値段は付かないだろうから、売る気は無いのだが。やはり、所有していることに(使用することができればさらに)意味があるのだ。
 5月11日の記事を見ると、さらに面白いことが書かれていた。「最新型のデジタル一眼レフに勝った」というところだ。この気持ちは大変よくわかる。ライカやコンタックスのレンジファイダーカメラには勝てないが、そんじょそこらのデジタル一眼レフには負ける気がしない。
 我が家のコンパクトカメラはコンタックスの"TVS II"だ。これも「強い」カメラだと思う。同じコンタックスの"T"をはじめとする固定焦点のチタンボディのカメラには負けるが、それ以外のカメラには負ける気がしないのだ。これは、一昨年の石垣島旅行に持参した。これも使う機会を作ってやりたい。
 話は変わるが、野田俊作先生のブログの5月11日の記事の本題は、ぼくも常々考えていることと似ている。「真理は中間にある」という表現が使われているが、そこまで言うのは極端だとしても、本文に書かれているように「最適解は中間にある」ということだ。どうも最近、何事につけても極端な方向に走ってしまうことが多いようだが(自分自身でもそうなってしまうことがある)、極端なところに最適解などあるはずはないのだ。

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