学会誌編集

2015年8月 2日 (日)

学会誌の編集をやっています(2015年8月2日)

 隠していたわけではありませんが、今年の1月から日本応用動物昆虫学会が発行する英文の学会誌“Appiled Entomology and Zoology”の編集責任者を仰せつかっております。編集責任者というと偉そうですが、英語で表現すれば“Associate Editor”で、ワタクシの上には編集委員長“Chief Editor”がおり、その下に6人の編集責任者がおり、ワタクシがそのうちの一人ということです。
 こういう仕事を始めたこともあり、それなりに忙しくなったため、虫を見る時間も少なくなり、このブログへの投稿がずっと少ない状態になっています。
 さて・・・・・投稿されてきた論文の原稿は、編集委員長が6人の編集責任者のうち一人に割り当てます。しかし、編集委員長のところで、さまざまな理由によって却下されるものもあります。ワタクシのところに回ってきた原稿は、まず摘要に目を通し、誰に査読をしてもらおうかという目星をつけます。次に本文を読んで、ワタクシでもわかるような欠陥がなければ、査読をしてもらおうと思う人に交渉して査読を引き受けてもらいます。この査読者を探して査読を引き受けてもらうのが、けっこう面倒な仕事です。原稿にワタクシでもわかるような欠陥が見つかれば、却下するためのコメントを考え始めます。欠陥があるまま査読者に却下のコメントを書いてもらうより、とりあえず自分で指摘できる欠陥を見つけてそれについてコメントして、著者に原稿を差し戻す方が時間が節約できるし、査読者に余計な手間を取らせることがないであろうと思うからです。欠陥の改善の余地があると思われれば“Reject/Recommend resubmission”の判定としますし、改善の余地がないであろうと思われれば“Reject”の判定とします。査読者に原稿が回った場合には、査読者の判定を重視して、編集者としての判断のコメントを書いて判定を著者に返します。
 これまでワタクシが担当となった論文のうち、7割ぐらいは外国人が著者で、日本人のものは3割ほどしかありません。残念ながら、外国人による投稿は完成度が低いものが多く、多くが査読者には回っていっていません。査読者に回らない論文の比率は、6人の編集責任者のうちでワタクシが際立って高いようなので、編集のやり方は編集者それぞれによって全然違うのだろうな、と思っています。が、自分は自分なりのやり方でやっていこうと思っています。
 この仕事の打診があったとき、自分は英語は(というか、日本語も)苦手であるし(英検2級は一度で受かりましたが、準1級は何度受けても一次試験で落とされるので、諦めました)、英語の論文を書いていると言っても、国内の学会の英文誌だけなので、外国からの投稿が多い学会誌の編集が勤まるかどうか、ものすごく自信が無かったのですが(さらに、未だに「うつ」から脱しきれていませんし)、これまでお世話になった恩返しのつもりで引き受けることにしました。実際に編集の仕事を始めてみると、自分自身の粗捜しが得意であるというアスペルガー的性格は編集者に向いているような気もしますし、案外と合っている仕事ではないかと思うようになりました。
 これからも、ときどき、編集に関わるネタをこのブログに書いていこうかと思います。

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