お楽しみ

2012年4月 1日 (日)

繁殖様式としてハレムを形成するハサミムシの発見(2012年4月1日)

 英国の権威ある科学雑誌“Scientia Naturae”の最新号によると、ニューギニアの山地で繁殖様式としてハレムを形成するハサミムシが発見されたとのことです。ハレムはホオヅキカメムシなどのカメムシではよく知られており、1頭の雄の回りに3〜10頭程度の雌が集団を作っており、その集団の雌と交尾しようとする他の雄が集団に近づくと、ハレムを支配している雄が戦い、その戦いに勝った雄がハレムを支配するというものです。
 これまでに知られている多くのハサミムシでは、産卵した雌が自分が産んだ卵を孵化するまで巣の中で世話をしますが、雄は雌が産卵すると他の交尾相手を捜すために、産卵が済んだ雌には興味を示さなくなります。ところが、ニューギニアに棲息するForficuloides tropicusというハサミムシでは、1頭の雄が複数の雌を支配し、産卵が済んだあとも、自分の交尾相手の雌の巣を見回り、他の雄が来ると追い払う行動をとるそうです。ハサミムシには雄にも雌にもハサミがありますが、どの種でも雌より雄の方が立派なハサミを持っています。Forficuloides tropicusでは、特にその傾向が顕著で、雄には非常に立派なハサミがあります。おそらく、その立派なハサミがハレムをめぐる戦いに役に立っていることは間違いないでしょう。
 ハサミムシの繁殖生態が明らかにされている種はそれほど多くありませんが、ハレムを形成するハサミムシが発見されるかも知れません。日本に分布するハサミムシの中では、屋久島や奄美大島や徳之島などに棲息するキガシラハサミムシParatimomenus flavocapitatusの雄には非常に長いハサミがありますが、ひょっとしたらハレムを形成して、それを防衛するのに役立っているかも知れません。


というわけで、今年も4月1日を迎えたわけですが、楽しんでいただけましたでしょうか?

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2010年4月 1日 (木)

真社会性のハサミムシの発見

 英国の権威ある科学雑誌“Science and Nature”の最新号によれば、ついに真社会性のハサミムシが発見されたとのことである。
 ハサミムシは雌が卵を卵塊として産み、卵が孵化するまで卵の世話をすることはよく知られている。これまでに産卵習性が知られているハサミムシには全てこの卵保護習性が知られている。しかしながら、これ以上の高度な社会性を持つものは全く知られていなかった。せいぜい、コブハサミムシの雌が生まれてきた仔虫の餌となることが、より高度な社会性だと言えるに過ぎない。今回の発見は、これまでの常識を覆すものであり、驚くべき発見である。
 熱帯アフリカに棲息するForficuloides afrikanusはこれまで雄しか知られていなかったが、その理由は明らかではなかった。今回の発表によれば、Forficuloides afrikanusは熱帯雨林の地中に巣をつくり、1頭の繁殖雌(女王と言っても良いだろう)と1頭の繁殖雄(王と言って良いだろう)を中心とする社会をつくっており、その他の雌は巣の中で卵や幼虫の世話をし、その他の雄は巣から外に出て餌を狩ってくるとのことである。この種は個体数自体が少ないので、これまでは外役に出ている雄が稀に発見されるだけだったようだ。
 これによって、真社会性昆虫として、革翅目(ハサミムシ目)が新たに付け加わった。

(追記)4月1日のお遊びでした。騙された方にはお詫び申し上げます。でも、楽しんでいただけたのではないかと思います。(追記以上)。

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