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2016年4月

2016年4月 7日 (木)

日本昆虫学会第76回大会・第60回日本応用動物昆虫学会大会・合同大会(2016年3月26日〜29日)印象記

前置
 学会誌の編集の仕事で忙しくてブログを書くのが億劫だったり、体調の不良などもあって、ブログをしばらく書いていなかったので、学会参加の印象記を書いていなかったので、本当に久しぶりの印象記である。
 普段この時期は日本応用動物昆虫学会(応動昆)の大会が開催される時期である。普段日本昆虫学会の大会は秋に開催されるのであるが、今年は秋に国際昆虫学会議がアメリカ・フロリダのオーランドで開催され、日本からも多数の参加が予想されるの。そのため、秋の日本昆虫学会(昆虫学会)の大会の開催の時期をずらして、春の応動昆の時期に合わせ、合同大会として大阪府立大学で開催された。一時期、両学会の合併を視野に入れて合同大会が続けて開催されていたが、今回の合同大会は1996年の山口大学以来、実に20年ぶりである。
 会期は普段のそれぞれの単独の大会より長い4日間である。齢も重ねてきたので、会期が長くなるのは疲れもたまってだんだん大変になってきた。

前日(3月25日)
 まずは大会前日の評議員会。ボクは評議員ではないのだが、代理の出席を依頼されて昆虫学会の評議員会に出席した。津駅10:45発のアーバンライナーを予約していたのだが、早く準備ができたので1時間早いアーバンライナーに変更しようと思って津駅まで出たところ、何と満席だった。ホームの特急券売り場に係員がいなかったので、一旦改札を出て外で切符を変更し、11:00発の賢島行き特急にして伊勢中川で乗り継ぐことにした。この賢島行きはそこそこ混雑していたが、伊勢中川で乗り換えた難波行きは4両編成と短かったにもかかわらず、それほど混雑していなかった。
 13:00前に大阪難波駅構内の「船場カリー」で黒いカレーを食べた。イカ墨が入っているそうである。可もなく不可もなくといった感じである。特にリピートしなくなるわけではなかった。
 南海難波駅から13:15発の橋本行き快速急行で堺東駅に出て、とりあえずホテルに荷物を預けてチェックインして、もう一度堺東駅から白鷺駅まで普通電車に乗り、定刻より20分ほど早く会場へ。
 評議員会は法人化を前にして解決しなくてはいけないことがたくさんあり、執行部のみなさんは大変そうである。18:30に終了の予定であったが、議事が終わらず、19:00過ぎまでかかった。評議員の懇親会もあったが、それには参加せず、ホテルに戻った。最寄りの南海白鷺駅から堺東駅まで電車に乗った。夕飯をどうしようかと考えていたところ、堺東駅構内に551蓬莱で「豚まん」を売っていたので、2つ買って夕食にした。やはり551蓬莱の「豚まん」の誘惑には勝てない。
 ホテルに戻りメールをチェックしたら、新しい論文が割り当てられたとの通知が来ていたので、ダウンロードした。こんなことをしていたので、なかなか寝付けず。

1日目(3月26日)
 午前中は両学会の総会。多少時間はずれているが、ほぼ同時並行で開催である。両学会共通の評議員もいるので、ちょっと大変ではなかったか?ボクは前日の昆虫学会の評議員会に出たので、総会は応動昆の方に出て、ほぼ終わってから昆虫学会の総会に顔を出した。
 午後の最初は一般講演4コマ。F→E→E→Fと会場を移った。大型ヒョウモン類の「夏眠」についての考察(低地と高地の間を移動しているだろう、ということ)は的を射ているだろうと思ったのだが、データが少なすぎて何とも言えない。イラクではタマムシによる果樹の被害があるということ、興味深い。
 その後は学会賞の受賞講演があったのだが、それはパスして休憩室で雑談など。
 時間がきたらチャーターバスで懇親会の会場へ。懇親会では「昆虫学会モード」で参加。自分のギョーカイの人とはあまり話をせず、博物館とか分類関係の若い人たちが集まるテーブルに陣取った。ツノゼミの知久さんと初めてお話したのは知久さんが初めて昆虫学会で講演した2014年の広島大学での大会の半翅類学会小集会の懇親会でのことだったが、今回初めてゆっくりお話できた。
 二次会には様々な祝賀会が企画されていたが、それには参加せず、セミの税所さんと一緒に歩いてホテルまで。やはりなかなか寝付けず。

2日目(3月27日)
 この日は応動昆の編集委員会に出れば良い、というぐらいのつもりであった。プレナリー講演はパスして一般講演から、と思ったのだが、最初の講演を聞いてから休憩室へ。さらに子供たちによるポスター発表と「昆虫じまん」の会場へ。三重県総合博物館に出入りしている子供たちのポスターや「自慢の標本」が展示されていることを知っていたが、そこで思いがけずお母さんから声をかけられ、ボクの職場でパートで働いているとのこと。部署が違うとパートさんの顔も知らない人が多いので、こういうことはありえる。息子さんはスズメガが好きということで、スズメガの話で盛り上がった。
 昼休みは応動昆の編集委員会。内容については特に何事もなく終わってしまった。
 午後も休憩室で雑談して過ごす時間が長かったが、夜の小集会に出席するつもりだったので、ホテルには戻らず。休憩室では出身大学の研究室の後輩たち(と言っても年上の後輩がいたり)が集まっていたので、仲間に入れてもらったり。一度ゆっくり話をしたいと思っていた後輩とも色々話ができた。
 小集会の前に腹ごしらえで、大学の門の前にある徳島ラーメンを謳っているラーメン店へ。それなりに美味しかったが、味が濃すぎるので、しょっちゅう食べようと思える味ではなかった。若者向きであろう。
 夜は「応動昆モード」になり、殺虫剤作用機構談話会の小集会に出席。ジアミド系殺虫剤の抵抗性に関してはある程度知っておいた方が良いので、とりあえず情報収集のため。
 会場を出たところ、別の小集会に参加していたと思われるクモの田中さんがいたので、話をしながら中百舌鳥駅まで歩いた。堺東駅構内の551蓬莱の隣にあったお菓子屋さんでシュークリームを買ってホテルに持ち帰った。

3日目(3月28日)
 体調も万全でない上に疲れも溜まってきているが、一般講演で自分の発表もあるので気力を振り絞って会場へ。
 自分は2番目だったが、自分の前は日本人の大学院生さんによる英語の講演。秋のアメリカでの国際昆虫学会議で講演するため、その練習を兼ねているとのこと。自分も一度だけ英語で講演したことがあるが、やはり大変であったと思う。
 自分の講演はキャベツで被覆作物を同時栽培したときの天敵類の発生について。事前に練習したときは16分もかかったのでスライドをかなり削ったところ、13分ぐらいに収めることができた。会場からの質問はほぼ想定内のもの。
 その後、午前中はほぼF会場。シカの死骸に発生する昆虫を調べた研究、ミノムシの蓑の捕食者に対する防衛、セミの羽化日のばらつきが交尾率に与える影響、ニクバエの休眠の臨海日長の性差の進化の研究、いずれも面白かった。
 午後はやはり休憩室にいる時間が長く、ポスターもあまり見なかったが、西川さんのオオハサミムシの地理的変異と分子系統の話は面白かった。Labidura japnicaという名前はLabidura ripariaのシノニムにされているが、種として復活するかもしれないし、南西諸島のオオハサミムシには別の名前が付くかもしれない。
 講演もキャベツの被覆作物としてカラシナや葉大根を使う研究の講演を聴いたぐらい。アブラナ科作物の被覆作物にアブラナ科を使うとは、常識に囚われない面白い発想である。
 夕方の2コマの小集会は「日本半翅類学会小集会」に出てから「昆虫の生物音響学の最前線」の途中まで出た。やはり夜はしんどいのである。税所さんが一緒だったので、堺東駅の地下の食堂街で一緒に食事をした。多少落ち着いた感じの定食屋さんのような店だったが、そこそこ安くて美味しくて満足した。
 やはりなかなか寝付けず。

4日目(3月29日)
 朝一番の長島さんのピンセットの講演を聴くために遅刻しないようにいないといけないので、いつもより早い電車に乗った。朝一番であるのに、この異色の講演を聴きにきた人はさくさんいて驚いた。良い標本を作る時など、良いピンセットを良い状態にして備えておくのは、実は大切なことなのであるが、これまでなかなかこういう情報が無かったのも確かである。
 その後はミバエの繁殖干渉を聴いた。この講演のあと、講演をした本間さんをつかまえて、自分が興味を持っているカメムシの繁殖干渉についての話を聞いてもらった。職場ではこのような話をなかなかできないので、やはり学会に参加する意義は大きい。
 一段落してからI会場に移動して斑点米カメムシの講演を昼まで続けて聴いた。
 昼休みは今野さんと一緒になったので、話をしながら一緒に食事をした。「なぜ陸上生態系は緑色なのか?」という疑問に答える今野さんのモデルの話は面白い。近くEcological Monographs誌に論文が掲載されるとのこと。
 最後は外来種問題に関するシンポジウム。外来種なくして我々の生活が成り立たないという状況の中で、外来種の問題を扱うのは難しいことであるが、意義のあることだと思う。港湾近くでハサミムシが見られるということでスライドにハサミムシの写真が登場したが、コブハサミムシの写真であった。コブハサミムシはそんな場所にはいないはずなので、違和感を感じた。東京の港湾で見つかったヨーロッパクグヌキハサミムシは現在どのような状況なのだろうか?
 個人的な考えでは、外来種すべてを目の敵にするのには違和感がある。是々非々で対応するしかないと思う。未侵入の外来種が国内でどのような振る舞いをするのかは予想がつかないから、外来種問題で最も重要なのは水際での抑止だと思う。既に定着してしまった外来種については、それを駆除する価値があるかどうかで判断せざるをえないと思う。何が何でも根絶させようという原理主義的な考え方には違和感を感じる。

個人的な印象
 このところ分子系統に関する研究が増え、それはそれで悪くないことだと思うのだが、形態や生態などと関連付けられていない「分子系統だけ」しか見ていない研究はやはりダメな研究なのだろうと思う。

帰路
 シンポジウムが終わると知久さんが若い人二人と一緒にいたので、何となく一緒に白鷺駅まで歩いた。二人はいずれも若い大学院生。同じ電車に乗り、堺東駅で乗り換えて難波まで。知久さんは翌日広島で仕事ということだったが、その夜は大阪泊まりとのこと。南海難波駅で別れて、ボクは一人近鉄の大阪難波駅へ。20:30発のアーバンライナーを予約していたが、食事をしても時間が余りそうだったので、20:00発のアーバンライナーに変更。当初からデラックスシートを予約していたので、変更した列車でもデラックスシート。なんばウォークの和食の店で食事を済ませて土産を買ってホームに降りると、発車まで15分ぐらいあったのに、既に入線していた。何と21020系、アーバンライナーNextであった。初めて乗ったデラックスシートが21020系だったのは運が良かったのか悪かったのか。座席はゆったりしていて気分は良かったが、ヘッドレストの位置が良くなく、思ったほど快適ではなかった。アーバンライナーの最前部は(最後部も)展望室になっているので、青山トンネルに入ったあたりから中川の短絡線あたりまで、展望室で前の景色を楽しんだ。青山トンネルの中は初めて見たが、単調な景色が続くので、運転する人も気が滅入るのではないかと思った。

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