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2012年7月21日 (土)

池田清彦著『さよならダーウィニズム』

池田清彦著『さよならダーウィニズム 構造主義進化論講義』

講談社選書メチエ 120
ISBN4-06-258120-5
1,553円+税
1997年12月10日発行
242 pp.

目次
プロローグ ダーウィニズムの限界
 進化論の基本図式/ネオダーウィニズムに対する三つの反証
第一章 「進化論」の歴史−ダーウィニズム以前
 プラトンとアリストテレス/「進化論」前夜−中・近世ヨーロッパの生物観/アマルクの『動物哲学』
第二章 ダーウィニズムとはなにか
 『種の起源』を読む/「生物」と「進化」のトートロジー/メンデルの再発見
第三章 ネオダーウィニズムの発展
 総合学説の提唱者たち/分子生物学の発展/遺伝子とは何か
第四章 構造主義的アプローチ
 名と時間/共時性と拘束性/形式と認識
第五章 構造主義進化論
 進化法則/構造の性質/情報と解釈系
エピローグ 科学の挑戦
ブックガイド
あとがき
索引

 本書の「あとがき」によれば、本書は「語り下ろし」であり、副題に「構造主義進化論講義」とあるように、講談社学術局の面々を前にした講義を本という形にしたものである。
 池田清彦氏の「構造主義生物学」に関する本をこれまでに色々読んできた。本書は1997年に出版されたものだから、決して新しいものではない。これまでに色々と「構造主義生物学」に関する池田清彦氏や柴谷篤弘氏の著書を読んできたので、「構造主義生物学」についてのボクの理解が深まったからかも知れないが、本書は「ネオダーウィニズム」と「構造主義生物学」を対比させながら、「ネオダーウィニズム」の問題点を明らかにし、それの代替の理解の仕方としての「構造主義生物学」が相当分かり易く語られているように思えた。
 「ネオダーウィニズム」による生物進化の考え方しか知らないと、「構造主義生物学」による生物進化の捉え方はかなり難解のように思えるが、本書は「ネオダーウィニズム」と対比させながら説明されているので、理解し易いと思う。
 本書の中でも(他の著書でも書かれているが)、日本におけるオオオサムシ属の4種のミトコンドリアDNAによって描かれる系統と外部形態から描かれる系統が全く異なり、遠隔地の外部形態による同種とされる種よりも、同じ地域に棲息する別種の方が、ミトコンドリアのDNAによる系統関係は近縁であることが例に挙げて説明されている。これを突然変異と自然選択によって種分化を考えるネオダーリニズムによる進化メカニズムで合理的に説明することは不可能であり、オオオサムシ属の属としての同一性を拘束する構造が4つの安定的な構造をとりえて、別の地域においても同様な形態的な種にしかなりえないと構造主義的に考えれば説明することが可能になる。「構造主義生物学」はとっつきにくい考え方であるが、このように具体的なデータをもとに説明されると、説得力があるように感じられる。
 本書の中でも語られているように、「構造主義生物学」に基づいた生物進化は未だに全く証明されているわけではないが、「ネオダーウィニズム」が生物の種レベル以下の小進化を説明し得ても、大進化を説明することは無理であることはほとんど明らかになっているので、生物の大進化を説明するメカニズムとして構造主義的な考え方はひとつの大きな柱になっても良いように思える(だからこそ、ボクが最近は「構造主義生物学」に関する本をたくさん読んでいるわけであるが)。
 もちろん、「構造主義生物学」的な考え方に基づいた進化が実際に起こったかどうかわからないし、それ以外の考え方も可能かも知れないが、「ネオダーウィニズム」に限界が見えてきた以上、もっと「構造主義生物学」的な考え方のように、「ネオダーウィニズム」以外の考え方が他に出てきても良いように思う。

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