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2012年5月 1日 (火)

五十嵐邁著『アゲハ蝶の白地図』

五十嵐邁著『アゲハ蝶の白地図』

世界文化社
ISBN978-4-418-08501-9
2,800円+税
2008年2月15日発行
320 pp.

目次
まえがき
第一章 蝶の魔境・インド 1963〜1968
 怪蝶テングアゲハのこと/熱心な英国人研究家/思い出のマハデオポカリへ/マハデオポカリにテングアゲハを見ず/ネパールから撤退/ダージリンへ/ダージリンの茶/手の平にのったテングアゲハ/見つからない幼虫/イスラエル兵士の話
第二章 ベンゲットの道・フィリピン 1966
 ベンゲットの道/美しい新種の発見/ベンゲットへ/日本軍の認識票
第三章 熱砂の国・イラク 1969〜1971
 バスラへ/砂漠は死んでいる/シンドバッド1(花の北国/バグダッドの街角で/シロタイスアゲハを採る/イラク人の家/異形アゲハの谷/卵と幼虫を発見/バーディの朝/オオカミの出る里/困った幼虫たち)/シンドバッド2(ふたたび北イラクへ/珍蝶の宝庫アマディア/ガラ山の失敗/アラビアのトンボ/美しいモスールの夕/炎熱の責苦に耐えて)/シンドバッド3(黄色い皇帝の姿/歯が立たぬ皇帝/ついに黄色い皇帝を採る/また起きた事故)/シンドバッド4(秋の北イラクへ/みじめな敗退)/シンドバッド5(宮殿にすむシロチョウ)/シンドバッド6(砂漠のシロチョウに挑む/意外に手強い相手)/シンドバッド7(黄色い皇帝を手に/珍蝶チビマドタテハの幼虫を発見/マティウスの飼育)
第四章 エルブルツの高峰・イラン 1974
 カスピ海から吹く風/ヒメクモマツマキチョウとの出会い/エルブルツの斜面/湖畔の蝶/失望すべき東の方/宝石箱のようなシジミチョウの産地/怒るイラン人
第五章 雨と蛭と原生林・インド 1985〜1986
 時間を味方として/蛭の絨毯/タイガーヒルの食物/ただ一頭のテングアゲハの雌を採る/人工採卵に挑む/エキスパートによる成功/孵らない卵/翌年に賭ける/テングアゲハ孵化の朝/成功を世界に打電
第六章 蒼きブータンの山河・ブータン 1985〜1987
 ヒマラヤの貴婦人/夢の国ブータンへ/霧の湧く絶壁/雨の中を飛ぶシボリアゲハ/眼前に見るシボリアゲハの産卵/巨大ウマノスズクサ/シボリアゲハ全滅/二度目の挑戦/ブータンの飛行機/天然の卵を見つける/頭上の鷲/依怙地な付き添い役人シャモ/ブータン賛歌/帰国、飼育成功
第七章 朦気の地・中国 1994.2001.2004
 春冷えの四川省/雲南行路/現代風シャングリラとヤクの味/蝶博士への贈物
第八章 彩りに満ちる島・スラウェシ 1967.1972.1993
 その島の蝶たち/東に向けて出発/悪天候で引き返す/墜落、火災、脱出/スパイ騒動/ヤシの実/カンカン帽の村長さん/厳粛な政府の招待/ジャカルタへ戻る/蝶の村、バンティムルング/サビモンキシタアゲハを採る/少年モンキーの忠誠/色白美人の母/標本商の栄枯盛衰/Bンチャックの宿/天然水洗便所/オオルリオビアゲハの彩り
第九章 疫病満ちる半島・ラオス 1998
 絶壁にすむジャコウアゲハ/トラノ糞/不気味な国境地帯/ラオスのニワトリ/雌の森で/悪いことは続いて起こる/疫病の夜/病気快癒/眼鏡を失う
第十章 遠い国・オーストラリア 1977〜1978
 意外に遠かったオーストラリア/ウスバジャコウアゲハの産地に直行/病をおして産地に進撃/賭けには勝ったが/最後の二時間で勝機を掴む
第十一章 驟雨と老酒・シンガポール
 マレーコムラサキとの出会い/屋根の無い夕食
あとがき

 最近は津市立津図書館よりも三重県立図書館に行く機会が増えてきた。そんなこともあり、これまでに読んだことのない本がいろいろと目につく。そんな中で見つけたのが本書である。
 著者の五十嵐邁はテングアゲハの寄主植物と幼生期を明らかにしたことで有名なアマチュアの蝶の研究家である。大手の建設会社に勤務しながらアゲハチョウの研究をして、それをもとに京都大学から理学博士の学位を授与されていることは有名である。ぼくの大学時代の同じ研究室の先輩の大学院生のAさんが学位を取得したとき、授与式が五十嵐氏と同じで、「ワシが五十嵐じゃ。ガハハ。」と言われた、という話をAさんから聞いたことがある。
 本書にはアゲハチョウに関する研究についての話を期待していたが、良い意味でも悪い意味でも裏切られた。研究に関する話がほとんどなく、悪く言えば自慢話ばかり書かれているのである。しかし、冒険談や苦労話として読めば、それはそれで面白いと思う。
 五十嵐氏は1924年生まれであるから、ぼくの父よりも少し上である。大学を卒業する頃はまだ戦争が終わっていなかったかも知れないが、まだ昆虫の生態があまり明らかにされていない時代に生きて、ワクワクする体験をされたことは羨ましく思える。それにしても、自信に満ちあふれており、すごいバイタリティである。今後はこのような人は出てこないであろう。
 本書は2008年2月の発行であるが、五十嵐氏は本書の発行後まもない2008年4月6日に亡くなられている。今の人がなかなか体験できないようなことを亡くなる前にたくさん書き遺してくれたことは大きな意味があると思う。

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