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2012年4月23日 (月)

佐渡のトキの繁殖に思う(2012年4月23日)

 今朝は各マスコミが佐渡の野外に放たれたトキが36年ぶりに繁殖に成功したことを伝えていた。どのマスコミも論調は似たようなもので、繁殖に成功したことは喜ばしいというもので、それに疑問を投げかける余地は一切ないように思われた。しかし、はたしてそれで良いのだろうか?
 誰もが知っているように、今回野外で繁殖したトキは日本在来のものではなく、日本在来のトキが絶滅した後に中国から連れて来られたものの子孫である。つまり、外来個体群ということである。昨今、外来種の問題がいろいろ議論されているにもかかわらず、このトキのことを問題視している人は全く存在しないように見える。
 この外来個体群であるトキの人工繁殖には、いくらか詳しくはしらないが、少なからぬ公的な資金が投入されているはずである。なぜ外来個体群の繁殖のために公的な資金を投入しなければいけないのか?ここのところがよくわからない。日本のトキが絶滅した時点で公的資金の投入を中止すべきではなかったのか?
 中国産の個体群を使っての今回の野外での繁殖は、壮大な生態学的な実験だったと言えるかも知れない。そして、今回佐渡の野外でのトキが繁殖したことによって、佐渡の自然環境の豊かさが証明されたと言えるのも確かかも知れない。しかし、自然環境の豊かさを認めるためには、トキがいてもいなくても、様々な生物の種類相や個体数を調査すればわかることではないかと思う。
 その一方で、開発によって絶滅の危機に瀕している日本在来の生物は数限りなくある。それに対する保全活動に対しては、トキの場合と比べると、公的な資金はほとんど投入されていないといえるどころか、未だに開発を続けている場所もたくさんある。そういう問題は、マスコミではほとんど報道されない。
 トキは豊かな自然の一つの象徴かも知れないが、トキが守られれば自然が守られたと勘違いする人も出てきそうなので、歓迎一辺倒のマスコミの論調には困ったものだと感じさせられる。と言うか、マスコミの自然というものに対する掘り下げ方の浅さにはがっかりさせられた。

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コメント

同感です。なんでそこまでトキだけをヒイキしなければならないのか……。
保護活動というより過保護活動には疑問を感じていましたが、マスコミの論調が「吉報」に偏っているのもガッカリさせられますね。

投稿: 星谷 仁 | 2012年4月23日 (月) 23時22分

公費資金投入の是非は置いておくとして、私はもしもトキが駅のホームに飛んできて首をふりながらエサをついばむドブネズミ色の羽の鳥でも同じ待遇を用意したか、と言うのです。トキが美しいから特別待遇をしている訳で、これは自然保護活動でも何でもない、いわば趣味なのだと。ホタルの保護活動と同じです。

多くの国民が同じ趣味を持ち、トキを美しいと思い(そもそも絶滅の原因もこれだった)、コンセンサスが得られるなら、公的資金投入もアリかな、と思います。立派な外来個体群ですが、日本産と多分生態もほぼ一緒で、日本の個体群が抜けた穴を埋めても問題は起こらないだろうと考えているのでしょう。

投稿: Zikade | 2012年4月24日 (火) 05時55分

トキをめぐる話っていうのは科学ではなくて文学です。科学の話だと思うのは間違いです。科学だと思うから頭に来てしまいます(コウノトリのお話も同様です)。

保全をめぐる話はすべからく科学ではなく文学です。手段として科学技術を用いることもありますが、頭のところにあるのは文学です。

ただ単に、「ああ、これはブンガクなんだ」と思っていればいいのだと思います。

投稿: 南十字星 | 2012年4月24日 (火) 06時59分

私は単純に吉報と受け取っています。

今はこういう世の中ですから、商業主義的にはある程度インパクトがなければ扱う価値がないと思われるのも無理はないと思うんです。

東京の都心に住んでいればコサギやカルガモでびっくりする有り様ですから、こんなハリボテの自然観でも関心を持ってくれれば、と思います。「まったくない」が「ものすごく浅い」に変わるだけですけれど。

個人的にはトキよりも餌用に虫やカエルが保護されているのが嬉しいんですが。

投稿: 鳥居 | 2012年4月24日 (火) 08時40分

トキの話にはみなさんある種の憤りを感じておられますね。時の話題(失礼)だけに一こと言いたい気持ちもわかります。
資金を投入していることとともに“保護してあげている” というスタンスなのもいやですね。
私もほぼ同意見ですが、中国産か国内産かは、あまり気になりません。トキ目線で見る、あるいは地球規模で考えるとどちらでもいいと思うからです。
話は逸れますが…
トキがかつて害鳥だったことはネット上でも多数書かれているようですが、理由としては “田を荒らすから” となっています。これっておかしいですよね。トキが田んぼに入ったからといってぐちゃぐちゃになるとは思えません。
私が思うに、カエルなどの稲作害虫の捕食者を食べるから害鳥とされていたのではありませんか? だとすると昔の人も好い観察眼を持っていたことになりますね。

投稿: sizenkansatu | 2012年4月25日 (水) 20時51分

だいたい大々的に報道されるのは大きな動物や有名な動物ばかりですね。オオタカの巣が見つかると開発禁止になりますが、小さな地中性のチビゴミムシの新種が見つかっても開発禁止にはなりません。似非自然保護の例は枚挙にいとまがないですね。ええ加減なものです。

投稿: Harpalini | 2012年4月28日 (土) 10時40分

みなさん、コメントありがとうございました。
 トキの問題に関して疑問を持っているのが自分だけではないことがわかり、安心することができました。これからも疑問に思うことがあれば、このブログに書いていきたいと思います。

投稿: Ohrwurm | 2012年4月28日 (土) 21時21分

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