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2012年2月25日 (土)

福岡伸一著『フェルメール光の王国』

福岡伸一著『フェルメール光の王国』
木楽舎
ISBN978-4-86324-040-7
2,200円+税
2011年8月1日発行
255 pp.

目次
第一章 オランダの光を紡ぐ旅
 フェルメール、レーウェンフック、そしてスピノザ−フランクフルト、アムステルダム、ライデン/フェルメール、ラピスラズリ、そしてエッシャー−ハーグ/フェルメール、エッシャー、そしてある小路−デルフト
第二章 アメリカの夢
 東海岸の引力−ワシントンD.C./ニューヨークの振動−ニューヨーク/光、刹那の微分−ニューヨーク
第三章 神々の愛でし人
 言葉のない祈り。そしてガロア−パリ、ブール・ラ・レーヌ/幾何学の目的。そしてルイ=ル=グラン−パリ
第四章 輝きのはじまり
 フェルメール、光の萌芽−エディンバラ/無垢の少女−ロンドン/フェルメールの暗号(コード)−ロンドン/旋回のエネルギー−アイルランド
第五章 溶かされた界面、動き出した時間
 つなげるものとしての界面−ドレスデン/溶かされた界面−ベルリン、ブラヌンシュヴァイク/壁、そして絵画という鏡−ベルリン
第六章 旅の終焉
 土星の輪を見た天文学者−パリ/時を抱きとめて−ウィーン
第七章 ある仮説
あとがき

 津市の図書館に入っていたが、借りられるまで予約の順番待ちでずいぶん待たされた。フェルメールのファンか福岡伸一のファンか知らないが、けっこうファンがいるということのようだ。
 ボクはあまり絵画には興味がなかったのだが(今でもそれほど興味があるわけではない)、この本を読んで、「絵画を見るにはこういう見方もあるのか!」と思わずにはいられなかった。
 本書は著者の分子生物学者である福岡伸一氏が世界のあちこちに分散しているフェルメールの作品を訪ねた旅の旅行記のようなものである。本書はあとがきを除き、すべてANAグループの機内誌『翼の王国』に掲載されたものに加筆・修正されたものである。
 フェルメールとほとんど同じ時にほとんど同じ街(オランダのデルフト)で生まれた顕微鏡の発明者として知られるレーウェンフックとフェルメールとの関係に関する推理(これについては他の福岡氏の著書に何度も触れられている)など、福岡氏の(生物学者とは思えない)文章の巧さに惹き付けられて読み終えた。
 本書を読むかぎり、福岡伸一氏は生物学者ではなく、りっぱなエッセイストである。

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