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2011年11月11日 (金)

日高敏隆著『ぼくの生物学講義 人間を知る手がかり』

日高敏隆著『ぼくの生物学講義 人間を知る手がかり』

昭和堂
ISBN978-4-8122-1043-7
1,800円+税
2010年10月30日発行
240 pp.

目次
第1講 動物はみんなヘン、人間はいちばんヘン
第2講 体毛の不思議
第3講 器官としてのおっぱい?
第4講 言語なくして人間はありえない?
第5講 ウグイスは「カー」と鳴くか?—遺伝プログラムと学習
第6講 遺伝子はエゴイスト?
第7講 社会とは何か?
第8講 種族はなぜ保たれるか?
第9講 「結婚」とは何か?
第10講 人間は集団好き?
第11講 なぜオスとメスがいるのか?
第12講 イマジネーションから理論が生まれる
第13講 イリュージョンで世界を見る
あとがき(今福道夫)

  2009年11月14日に亡くなった動物学者である日高敏隆先生の精華大学で行われた半年間の講義を文章にしたものである。もう1年も前に出版されたものだが、つい最近まで図書館に所蔵されているのに気づかなかった。気づいて早速借りてきて読んだ次第である。
 日高先生が書く本も面白いが、日高先生の語りも好きだ。日高先生が「ぼく」という一人称を使われることにも好感が持てる。ボクが京都大学農学部の学生だった頃、日高先生は理学部の教授だったので、一度だけだったと思うが、モグリで講義を聴きに行った記憶がある。要するに、ボクは日高先生のファンである。日高先生のファンでありながら理学部に進まなかったのは、ボクには理学部に入れるだけの学力がなかったからである。
 大変好運だったことに、ボクが石垣島に住んでいたとき、日高先生が石垣島においでになって(ボクに会いに来られたわけではない)、ボクと日高先生を含めて4人で食事をする機会があったが、その頃『動物と人間の世界認識 − イリュージョンなしに世界は見えない』という本を出版されており、しきりに「イリュージョン」について熱弁されていたことが思い出される。
 本書の「人間を知る手がかり」という副題のとおり、本書には「人間とはどういう動物か?」ということについて、様々な視点から語られている。これまでに日高先生が書かれた本をたくさん読んだが、本書における講義は、その集大成と言っても良いものだと思われた。
 生物学ではいろいろなことが研究されているが、本書の講義を読むと、つまるところ生物学の究極的な目的は「人間という生物はいかなる動物であるか?」ということを追求して明らかにすることであるように思えてきた。
 本書の講義はいつ行われたものかは書かれていないが、日高先生ご自身も、これが最後のメッセージであるということを自覚しておられたのではないかと思える。
 日高ファンにはもちろん、その他の生き物好きな人だけでなく、普通の人にも大変お勧めの本だと思う。

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