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2011年9月 1日 (木)

フォン・ベルタランフィ著『一般システム理論』

ルートヴィヒ・フォン・ベルタランフィ著『一般システム理論 その基礎・発展・応用』

みすず書房
1973年7月10日発行
288 pp.

目次
序文
英語版への序文
第1章 序論
 システムはいたるところに/システム理論の歴史/システム理論の方向
第2章 一般システム理論の意味
 一般システム理論の探求/一般システム理論の目標/閉鎖システムと開放システム−伝統的物理学の限界/情報とエントロピー/因果性と合目的性/オーガニゼーションとは何か/一般システム理論と科学の統一性/教育における一般システム理論−一般科学者の養成/科学と社会/最後の教訓−個人としての人間
第3章 いくつかのシステム概念の初等数学的考察
 システム概念/生長/競争/全体性,総和,機械化,集中化/目的性(終局性)/目的性のいろいろな型/科学における同形性/科学の統一性/数学的システム理論の発展についてのノート(1970年)
第4章 一般システム理論の進歩
 システム科学のアプローチと目標/一般システム研究の諸方法/一般システム理論の進歩
第5章 物理学的システムとして考えた生物体
 開放システムとしての生物体/開放化学システムの一般性質/等結果性/生物学的応用
第6章 開放システムのモデル
 生命機械とその限界/開放システムのいくつかの特徴/生物学における開放システム/開放システムとサイバネティクス/未解決の問題/結論
第7章 生物学におけるシステム理論のいくつかの側面
 開放システムと定常状態/フィードバックとホメオスタシス/アロメトリーと表面積法則/動物の生長理論/結論
第8章 人間の科学とシステム概念
 有機体論革命/現代思想における人間像/システム理論的な方向転換/社会科学とシステム/システム理論的な歴史概念/システム理論から見た将来
第9章 心理学と精神医学における一般システム理論
 現代心理学の窮境/精神病理学におけるシステム概念/結論
第10章 カテゴリーの相対性
 ウォーフの仮説/カテゴリーの生物学的相対性/カテゴリーの文化的相対性/遠近法主義的な見方/注
付録 科学の意味と統一性
謝辞
参考文献
読書案内
訳者あとがき
索引

 横山和成さんから本書を読むことを勧められていたのだが、そのままになっていた。ところが、某所で横山さんが講演されるという情報を得たので、その講演を拝聴する前に目を通しておくべきだと思って慌てて読もうと思った。津市立津図書館にも三重県立図書館にもなく、三重大学にあることを確認したのだが、夏休み中で開館時間が短くてどうしようかと思ったのだが、職場のルートで取り寄せられることがわかったので、結局は職場のルートで取り寄せて借りて読んだ、というより「目を通した」という表現の方がより正確である。
 著者のルートヴィヒ・フォン・ベルタランフィは既に1972年に亡くなっており、そのとき本書はまだ翻訳作業の途中であった。
 大雑把に理解したことは、「あらゆる現象を物理学的なものに還元して理解することには限界があるため、無生物・生物・精神過程・社会過程のいずれをも貫ぬく一般原理の同形性の根拠を究明し、連立微分方程式で記述したモデルに定式化して理解しようというのが『一般システム理論』の目的である」ということである。
 このような「一般システム理論」全体については学生時代に勉強したことはなかったが、この理論の特殊な場合については昆虫生態学の講義を聴いてちゃんと勉強していた。ただそれが、一般的なシステムとして記述できるなどということに思いもついていなかったということである。例えば、捕食者と被食者の増減関係をモデル化し、その増殖速度を表現した「ロトカ=ヴォルテラの方程式」がそうであるし、同じ生態学的要求を持つ複数の種が同所的に存在すると競争によって一方が排除されるため、他の環境要因などがない場合は安定的に共存することはないということを示した「ガウゼの法則(競争排除則)」もそうである。
 横山和成さんによれば、多様性を考えるにあたっても「一般システム理論」が役に立つだろう、ということなのだが、ざっと目を通したに過ぎない現在の段階では、具体的にどこにどのように応用したらいいのか、まだよくわからない。でも、還元的にモノを見ることだけが科学ではなく、そうではない方法でも科学ができますよ、というところが横山さんが言いたかったことなのかも知れないし、その点について「なるほど、こういう考え方もできるのか!」と感じたのは確かであるので、何かの役には立つのではないかと思う。
 それはそれとして、本書は1973年出版ということで、ボクがまだ中学生だった40年近く前に出版されていたわけであるから、当然その後、この理論に関する考察が進んでいることと思う。しかしながら、それがどの程度進んでいるのかは全くわからない。
 ネットで検索したら、驚くべきことに出版元にはまだ在庫があるみたいだけど、個人で買うにはちょっと躊躇する値段だな。

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