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2011年8月11日 (木)

藤崎憲治著『昆虫未来学』

藤崎憲治著『昆虫未来学 「四億年の知恵」に学ぶ』

新潮選書
ISBN978-4-10-603670-5
1,200円+税
2010年12月20日発行
263 pp.

目次
はじめに
第1章 昆虫とはどんな生物か
第2章 昆虫たちのみごとな進化
第3章 昆虫が群れるわけ
第4章 生態系における大きな役割
第5章 地球温暖化センサーとしての昆虫
第6章 昆虫と人類の闘い
第7章 害虫を上手にコントロールする
第8章 バイオミミクリー革命と昆虫
あとがき
主な参考文献・図表引用文献

 著者の藤崎憲治氏は「カメムシはなぜ群れる?」(2001, 京都大学学術出版会)の著者としても知られているように、昆虫生態学でも特にカメムシの集合性や翅型多形についての研究を中心に行ってきた研究者として知られているのと同時に、21世紀COEプログラム「昆虫科学が拓く未来型食料環境学の創生」(2004-2009)の拠点リーダーとしても活躍された。ぼくの個人的なおつきあいとしては、藤崎氏が沖縄県農業試験場の研究員だった当時に、学部の学生だったぼくが沖縄県農業試験場に見学に行ったとき(1980年)にご案内していただいたのが始めであり、その後はぼくが初めて論文らしい論文を書いたときの学会誌の編集長としてであり、最近ではぼくが学位を取ったときの審査の主査としてである。もちろん、学会等でお会いしたときには、しばしばお話をさせていただいている。
 本書の内容は、専門家ではない人への解説であるが、専門家が読んでも面白いと思う。藤崎氏はかつては文学青年だったとのことであり、博識で多くの文献をフォローしており、文章も丁寧だと思う。専門家にありがちな、難しい言葉で誤摩化すようなこととは全く対照的であり、専門家ではない人への配慮がされていると思う。
 本書の第1章から第7章を読めば、昆虫に関する基本的な知識はほぼ習得できると思う。第8章は、主に21世紀COEプログラム「昆虫科学が拓く未来型食料環境学の創生」で得られた成果の解説と、今後の展望が述べられている。「〜かもしれない。」という言葉で終わっている項目が多いが、要するに昆虫科学はまだ未開拓の部分がたくさんあり、多くの可能性が秘められているということだと思う。
 平易で丁寧な文章で書かれており、しっかりと昆虫に関する知識を身につけることができるので、本書はたいへんお勧めの本だと思う。

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