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2011年8月16日 (火)

京都大学総合博物館・京都大学生態学研究センター編『生物の多様性ってなんだろう?』

京都大学総合博物館・京都大学生態学研究センター編『生物の多様性ってなんだろう? 生命のジグソーパズル』

京都大学学術出版会 学術選書027
ISBN978-4-87698-827-3
1,800円+税
2007年8月10日発行
314+viii+口絵viii pp.

目次
はじめに
第I章 形の章 なぜ花は美しいのか? 形からみえる植物と動物の多様な共進化
 第1節 昆虫を誘惑する花たち−花の多様性を読み解く(酒井章子)
 第2節 種子散布の生態学(湯本貴和)
 コラム1 研究者、木に登る(酒井章子)
 より深く学ぶために−読書案内
第II章 関係の章 風が吹けば桶屋が儲かるか? 生物間相互作用ネットワーク
 第1節 ヤナギをめぐる虫たちの相互作用ネットワーク−生物多様性を生み出すしくみ(大串隆之)
 第2節 生物の多様性を生み出すメカニズムとその理論(山内 淳)
 第3節 意外なところに潜む間接効果−生態学的三者系と情報ネットワーク(高林純示)
 コラム2 五万匹のテントウムシにマークをつける(大串隆之)
 より深く学ぶために−読書案内
第III章 分子の章 分子解析生態学がとき明かす生物多様性のメカニズム
 第1節 ミツバチのリズムと時計遺伝子(清水 勇)
 第2節 魚類の多様性とオプシン遺伝子(源 利文・清水 勇)
 第3節 あなたの同位体はいくつ?−同位体でわかる生物のつながり(陀安一郎)
 より深く学ぶために−読書案内
第IV章 身近なところにある生物多様性
 第1節 琵琶湖の生物多様性−過去、現在、そして、未来(奥田 昇)
 第2節 里山の重要性(椿 宜高)
 第3節 里山生態系と草原生態系の新しい危機(藤田 昇)
 コラム3 トンボと日本人(椿 宜高)
 より深く学ぶために−読書案内
第V章 生態系の章 その秘密を解き明かすアプローチ
 第1節 熱帯降雨林の生態系−樹木と土壌微生物の協奏曲(北山兼弘・潮 雅之・和穎朗太)
 第2節 微生物の海−海洋生態系における微生物群集の働きと多様性(永田 俊・茂手木千晶)
 より深く学ぶために−読書案内
引用文献
本書の歩きから−読み終わった翌日に読んでもらいたい「あとがき」
索引

 本書も「生物多様性」という言葉に惹かれて読んだ。しかもまさに「生物多様性って何だろう?」というボクが問題意識を持っている点がそのまま表題になっている。
 しかしながら、やはりボクが期待していた「回答」は得られなかったと言わざるをえない。
 簡単に要約すれば、本書は主に京都大学生態学研究センターの研究成果の紹介である、と言っても良いと思う。「生物多様性とは何か?」という問いに対する回答にはほとんどなっていないと思われるが、京都大学生態学研究センターでどんな研究が行われているのかは理解できる。しかし、多くの節は、読者として一般市民が想定されていないような書き方がされており、ある程度の生物学なり生態学の知識を持っていないと、本書の内容を理解するのは難しいのではないかと思われた。また、ボクが想定している「生物多様性」とはほとんど関係ないのではないかと思われる節も少なからずあったように思われた。
 とは言え、「生物多様性とは何か?」という問いにそれなりに答えている節もあった。第IV章第2節の椿宜高氏による「里山の重要性」である。この節では、読者として一般市民が想定されているような、平易な言葉とわかりやすい表現で書かれており、著者が言わんとすることが十分に伝わるのではないかと思われた。
 全般的に見れば、節ごとに(要するに著者ごとに)想定されている読者の基準がまちまちであり、一冊の本としての一貫性あるいは統一性に欠けているように感じられた。ある程度の知識を持った人が京都大学生態学研究センターで行われている研究を知るための本としては適切な本だと思われるが、「生物多様性」を理解しようとするための本としては、本書はあまりお勧めできないように思える。

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