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2011年8月 9日 (火)

エドワード・O・ウィルソン著(大貫昌子・牧野俊一訳)『生命の多様性』I・II

エドワード・O・ウィルソン著(大貫昌子・牧野俊一訳)『生命の多様性』I・II

Edward O. Wilson "The Diversity of Life" (1992)
Harvard University Press, Cambridge.

日本語版

大貫昌子・牧野俊一訳『生命の多様性』I
ISBN4-00-005568-2
2,800円

大貫昌子・牧野俊一訳『生命の多様性』II
ISBN4-00-005569-0
2,800円

1995年11月27日発行
岩波書店

559+91 pp.

I 目次
荒々しい自然、立ち直りの早い生命
1 アマゾンを襲う嵐
2 クラカタウ島
3 大絶滅
増えてゆく生物多様性
4 基本的単位
5 新しい種
6 進化をもたらす力
7 適応放散
8 未踏査の生物圏
9 生態系の創造
10 ピークに達した生物多様性

II 目次
人間の影響
11 種の生と死
12 脅かされる生物多様性
13 未開発の富
14 解決への道
15 環境の倫理
謝辞
クレジット
訳者あとがき
注および文献
用語解説
事項索引
生物名索引

 本書は生物多様性「Biodiversity」という言葉が初めて使われた本であるということで、訳書で559ページにもなる大著であるが、読んでおく必要があると思って図書館で借りてきて読んだ。ページ数が多い上に内容も濃くて盛りだくさんなので、読むのに時間がかかってしまった。本訳書が発行されたのは1995年であるので、今から15年以上も前ということがあるためか、津市津図書館では書庫にしまい込まれていた。
 本書の著者のE. O. Wilson (1929- )は"Sociobiology (1975)"(日本語訳「社会生物学(全5巻)」、1983、新思索社)の著者として、またRobert H. MacArthurとの共著の"The Theory of Island Biogeography (1967)"(これは学生時代に原書を読んだことがある)の著者などとして有名なアリの生態の研究者である。"Sociobiology"も"The Theory of Island Biogeography"も理論的な内容の本であるので、Wilsonのことを最初は理論生物学者であると思っていたが、本書を読めばWilsonが本来はナチュラリストであることが理解できる。
 日本で「生物多様性」という言葉が使われるようになったのは、本書が刊行されたあとのことではないかと思う。「生物多様性」という言葉は保全生態学で使われ始めたと思うが、ぼくの学生時代には保全生態学という言葉も一般的ではなく、学ぼうとしても教科書も無かったし先生もいなかった。
 本書の表題は「生命の多様性」であるが、要は「生物多様性」のことである。なぜ「生物多様性」という言葉が生まれたのかと言えば、人類の活動によって生態系が単純化して人類自身の生存が脅かされるのだ、という警告を発するためのキャッチフレーズとしてである。本書はどのように生物が多様化し、今どのようにしてその多様性が失われてきているのか、ということが事例をあげながら解説されている。本書を読めば、すでに失われた「生物多様性」を修復するのは難しいと言わざるをえないが、かと言って何もしなくても良いというわけではなく、「生物多様性」の保全ひいては我々人類自身の生存のために何をすべきなのか、という様々な提案がされている。
 近年「生物多様性」という言葉は一つのキーワードであり、様々な研究や生物多様性の保全のための実践が行われてきているようになっているので、本書は既に古典と言えるかも知れない。だからと言って、本質的な部分はそれほど変わっているとも思えないので、今でも生物多様性の保全に関わる人だけでなく、一般の人にも読んで欲しいものだと思う。図書館でも書庫ではなく開架に置いて欲しい。

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