林正美・税所康正 編著『日本産セミ科図鑑』
林正美・税所康正 編著『日本産セミ科図鑑』
詳細解説、形態・生態写真、鳴き声分析図
全種鳴き声CD付き
誠文堂新光社
ISBN974-4-416-8114-6
4,600円+税
2011年2月28日発行
221 pp.
今日の午後この本が届いた。
この本は単なる図鑑ではなく、現時点での日本産セミ類研究の集大成とも言えるものだと思った。エゾゼミ属が長年親しまれてきたTibicenではなくLyristesになっているなど、学名の訂正があちこちにあるのに気づいた。
鳴き声のCDも、数多くの録音の中から選りすぐられたものと思われ、大変わかりやすい。鳴き声のほとんどは『セミの家』の作者で、本書の編著者の一人である税所氏によるデジタル録音のもので、『セミの家』でも聴けるものであるが、唯一オガサワラゼミが大林隆司氏によるアナログ録音によるものである。噂にしか聞いたことのなかったオガサワラゼミの鳴き声を初めて聴くことができた。
内容から見れば、4,600円という価格は決して高くないものだと思われ、セミの研究をする上で無くてはならないものだと思われる。大変オススメの本だと思う。
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コメント
おはようございます。御紹介ありがとうございます。
>エゾゼミ属が長年親しまれてきたTibicenではなく
>Lyristesになっているなど、学名の訂正があちこちにある
>のに気づいた。
この辺の事情は来月出る予定の会報Cicadaに解説される予定です。
投稿: Zikade | 2011年2月28日 (月) 08時26分
Zikadeさん、コメントありがとうございます。
ミンミンゼミの属も変わっていたようですね。セミなどは種類も少なく、大きな虫ですので、もうわかっているような感じが一見しますが、まだまだ問題が多いのですね。
投稿: Ohrwurm | 2011年2月28日 (月) 21時59分
「セミ」も時々‘属’が変わりますが、「ハサミムシ」もあちらこちら変わりますね(笑)。
投稿: Zikade | 2011年2月28日 (月) 22時11分
Zikadeさん、どうもです。
確かに、ヒゲジロハサミムシなどは何度も属が変わっていますね。高次分類群は研究者の考え方次第でしょうから、変わるのは仕方が無いかも知れません。
投稿: Ohrwurm | 2011年3月 1日 (火) 07時27分
どうもです。
昨年4月より8年ぶりに父島に来ております。
あの当時は自分ではアナログでしか録音できませんでしたが,今は手軽に録れるデジタルレコーダーがあるので,録り直したいと思います。
また,オガサワラゼミについては,埼玉大の林さんと遺伝子レベルでの分類学的位置関係をはっきりさせようと計画中です(昨年末に天然記念物現状変更許可は下りましたが,シーズンが終わってしまった…)。
投稿: せみ ちゃん。 | 2012年1月13日 (金) 18時47分
せみちゃんさん、コメントありがとうございます。
たぶん「はじめまして」ではないと思います。また小笠原に行かれたとは知りませんでした。小笠原も一度は行ってみたいと思いますが、なかなか時間を作るのが難しいです。
オガサワラゼミの件ですが、録音機の進歩は目覚ましいものがありますから、ぜひともデジタル録音したものを聴いてみたいです。
投稿: Ohrwurm | 2012年1月13日 (金) 22時26分