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2010年10月 4日 (月)

池田清彦著『科学は錯覚である』

池田清彦著『科学は錯覚である』

宝島社
ISBN4-7966-0637-8
1,850円(本体1,796円)
1993年6月25日発行
238 pp.

目次
はじめに
第1章 エイズが世界にもたらすもの
エイズと国家装置
第2章 脳死・臓器移植をめぐるインチキ・レトリック
「ぜいたくな美談」臓器移植/脳死者を死体扱いしたがる理由
第3章 宗教と科学
自我不滅説の誤り/宗教にとっての倫理と制度/安心立命を得るしくみ/死は救いである
第4章 虫屋はオタクか
虫屋はオタクか/動物愛護と文化の無根拠性/動物はなぜよそおうか/ひとはなぜ虫を集めるのか/オオクアワガタ狂騒曲/自然食ほど危険なものはない/私がいなくても多分自然はあるだろう しかし、私がいなければ時間はない
第5章 分けることとわかること
分類学の根拠 最新流行の分類理論に背を向けて/顔が似ているとはどういうことか
第6章 社会生物学への鎮魂歌
「進化」と「進歩」/ネオダーウィニストがダーウィンから学ばなかったこと/《おまけ》竹内久美子『そんなバカな!」はこんなバカな本!
第7章 多元主義社会を展望する
構造主義科学論から見た科学と社会/構造主義生物学から多元主義、そして差別論へ/多元主義社会への展望
初出一覧

 本書は1990年から1992年にかけて(『「進化」と「進歩」』は1987年)池田清彦氏が雑誌等に発表したものを再録したもの。
 1993年の出版だから、もうかなり古い本である。『構造主義生物学とは何か』とか『構造主義と進化論』のような初期の池田清彦の著書は、ぼくにとっては非常に難解で、『構造主義生物学とは何か』も『構造主義と進化論』も、出版された頃に買って読もうとしたが、ほとんど理解できなかった。本書もかなり初期に出版されたもので、かなり理屈っぽくて読みにくい。最近の池田清彦氏の著書と比較すると、書かれている内容はそれほど違わないだろうと思うのだが、読み易さは全く違う。
 しかし、最近の著書からうかがえる池田氏の基本的な考え方は、本書の頃から大きく変わっていないように思える。ネオダーウィニズムに対する批判は今に繋がっているし、最近のリバタリアンとしての池田氏の主張は、本書の第7章を読めば納得できるものがある。
 しかしまあ、最近の池田清彦氏の本を想像して読むと、読みづらいことこの上ない。

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