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2010年10月30日 (土)

第274回昆虫学土曜セミナー@岡山大学農学部

 岡山大学農学部で開催されている昆虫学土曜セミナーで講演をしてくれないか、という話を宮竹教授からいただいたは去年の夏前ぐらいだったと思う。このセミナーが始められたのは、先々代教授の中筋房夫先生が岡山大学に着任された1985年のことである。それ以来、毎年10回前後開催され、もう25年も続いている伝統のあるセミナーになった。ぼくは1985年に就職し、4月からの半年間は初任者研修で広島県福山市にある中国農業試験場(現 近畿中国四国農業研究センター)に在籍しており、その当時にこのセミナーに聴衆として参加し、第2回に行われた香川大学の市川俊英先生がウンカの振動による雌雄の交信の話を聞いて以来の参加であり、今回は聴くほうから話す方に立場を変えての参加である。このような伝統のあるセミナーで話をさせていただけるのは本当に嬉しいことである。
 このセミナーは、一人で3時間の話をすることができる。これまでに一人で3時間も話をしたことが無かったので、どのように話すか、という点に関しては、全く手探りの状態であったが、それなりに話し方を考えて準備した。
20101030blog1 今日の話題は「亜熱帯におけるカメムシ類の生活史戦略−特に石垣島における植物種子食性アカホシカメムシ類とそれらの特異的捕食者ベニホシカメムシの生活史戦略を中心にして−」ということにした。中身は4部構成にし、第一部は「石垣島における種子食性アカホシカメムシ類とそれらの特異的捕食者ベニホシカメムシの生活史戦略」、第二部は「シロジュウジカメムシ類の問題(分類学的・生物地理学的)」、第三部は「アシブトヘリカメムシとそれに便乗する卵寄生蜂の生態−季節による寄主植物の転換とそれに対する卵寄生蜂の戦略−」、第四部は石垣島に棲息する様々なカメムシの生活史−亜熱帯という環境が生活史の進化にどのように影響したか−」というものである。
 第一部はぼくの学位論文[Full text (pdf: 6,496 kB) on NIVTS site (access free)]の主要部分である。第二部は学位論文で少し扱った話題。第三部は2002年に日本昆虫学会の英文誌"Entomological Science"[Abstract & Full text (pdf) on CiNii (access free)]に発表したもの。第四部は、石垣島で観察した様々なカメムシの生活史についての紹介。
 長時間話す経験が無かったので、第一部で時間を使いすぎてしまったが、30分ほど時間を超過してしまったが、何とか準備しておいた第四部まで話をすることができた。
 今回話をした内容は、研究として完成されていない部分も多いので、聴きにきていただいた方々からは色々と有益なご意見をいただくことができたと思う。今日話をした内容は、ぼくが石垣島で研究をしていたときのものであり、この研究の穴を埋めるための研究をするには、また石垣島に行かなければいけない。もちろんぼく自身で未解明の部分を解明したいというのは山々であるが、科学の成果は公のものであるので、今日のぼくの話を聴いて興味を持っていただいた方が残された問題点を解決していただくのも全くの自由である。ぼくが知りたいのは、生態現象のウラに隠された法則性である。それを誰が解明するのかは大きな問題ではない。


 さて、今朝は台風14号が接近していて、津を出発する時には風は強くなかったものの雨が降っていた。久しぶりに近鉄特急に乗り大阪難波に向かった。疲れが抜けていないせいか、持参した本を読む気にもなれず、ただひたすら半分居眠りという状態だった。大阪に着いた頃には雨は上がっていた。難波からは地下鉄御堂筋線で新大阪に向かった。まだ元気は出ていなかったが、気分を高めようと意識しているうちに、何とか少し元気になってきた。新幹線は「ひかりレールスター」の指定席を狙っていた。通常の指定席の料金なのに、2列+2列のシートでグリーン車に近い設備だというのである。残り座席はわずかだったらしく「サイレンス・カー」という車内放送の入らない車輌の座席しか空いていなかった。これでは居眠りもできないな、と思ったが、その切符を買うことにした。切符を買ったあと、駅構内をブラブラしていたら「虫見板」で有名な宇根豊さんらしい人を見かけたが、人違いだったかも知れない。「ひかりレールスター」の「サイレンス・カー」は新大阪を出発するまでは車内放送が入ったが、それ以降は全く車内放送が無かった。おそらく終着の博多に着くまでそのままなのだろうと思う。その頃には眠気も治まっており、問題は全くなかった。座席に余裕があるのに通常の指定席料金なのは良いことである。
20101030blog2 岡山駅には宮竹教授直々に迎えに来ていただくことになっていた。ところが、岡山駅を降りたら何か様子が変であった。警察官がやたらにたくさん居り、日章旗をもった人々がいるのだ。どうやら皇太子様がおいでになっていたらしい。その影響の交通渋滞が原因でやや遅れて現れた宮竹教授の車に拾われて、ラーメンを食べに「冨士屋」へ。岡山のラーメンとしては外すことができない店とのこと。店に着いたら3名ほど待っている人がおり、繁盛していることが伺われた。出てきたラーメンはスープがたっぷり入ったラーメン。麺もスープも美味しく、美味しかったのだが、スープの量が多すぎたため、スープを飲み干すことはできなかった。スープが無駄になるのはもったいないことである。もっとスープが少なくても良いのではないかと思った。ともあれ、ぼくとしては十分満足できるラーメンだった。
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 セミナーの後は、大学からほど近い「成田屋」へ。「岡山らしいものを中心に料理を出して欲しい」というリクエストをしていただいたおかげで、黄色いニラの卵とじとか、ホルモン焼うどん(津山が発祥の地らしい)なども出していただいた。セミナーでの話題提供者はご招待、ということでご馳走になってしまった。懇親会に参加された皆様、ご馳走さまでした。また、セミナーで十分議論できなかったこともここで議論していただいたし、ウラの話も色々聞かせていただいたので、楽しい会でした。
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20101030blog5 そこからホテルにはタクシーで行こうかと思ったのだが、タクシーがつかまらないので、岡山駅の近くまで行くというセミナーに参加された世古さんと一緒に話をしながらブラブラと岡山駅方面に歩いた。駅まで20分ほどであっただろうか。ちょうど良い腹ごなしになったと思う。ホテルまでは、さらにそれから5分ほど。
 歩いたせいか、少し汗をかいたので、早速シャワーを浴びた。

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