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2010年7月19日 (月)

浜口哲一著『放課後博物館へようこそ』

浜口哲一著『放課後博物館へようこそ 地域と市民を結ぶ博物館』

2000年6月15日発行
地人書館
ISBN4-8052-0656-X
1,800円+税

目次
はじめに
I. 博物館を作る−準備室の日々−
1 学芸員を志して
2 学芸員になった日
3 アクティブな準備室
4 考え、議論し、そして悩む学芸員
5 開館までの道
II. 動き出した博物館
1 博物館オープン
2 地域の自然を調べる−博物館の調査活動
3 新たな活動スタイルを求めて
III. 放課後博物館とその活動
1 浮かび上がった新しい博物館像
2 各地の放課後博物館
IV. あなたの放課後博物館を見つけるには
1 自分の博物館を探す
2 博物館を訪ねたら
3 博物館を使いこなす
4 博物館を作る運動
5 学芸員になるには
6 放課後博物館が作る地域の文化
あとがき

 この5月に亡くなった浜口哲一(はまぐち・てついち)さんの本が何か無いかと津市津図書館で調べたら、この本が書庫に収納されていることがわかったので、出してきてもらって借りてきた。浜口さんからは毎月メールマガジンを送っていただいていたが、このような本を出しておられたことには気付いていなかった。出版の日付を見ると、ぼくが浜口さんと(ネット上で)知り合う以前に出された本である。
 「放課後博物館」とは何かということは、本を読み始めるまではわからなかったが、要するに、地域住民が学校の放課後や仕事の後に気楽に訪れることができ、学芸員と一緒に活動できる博物館、ということのようである。
 浜口さんは、この本書を書かれた当時は平塚市博物館の学芸員であった(その後、館長を最後に定年退職され、その後1年ちょっとで亡くなられた)。本書の前半は、浜口さんが学芸員になられるまでのことや、博物館が軌道に乗るまでのことが書かれている。後半は、浜口さんによる地域の博物館の活動に対する考え方が書かれている。
 ぼくは、博物館の学芸員という仕事にも憧れていたが、残念ながら博物館とは縁がなく、縁あって農水省の試験研究機関に就職した。しかし、この本を読んで浜口さんの行動を知ると、自分には博物館の学芸員としての資質があるかと問われれば「否」と答えざるをえないように思われた。学芸員には、幅広い対象を扱う能力がなければ務まらないと思えたのだ。学生時代のぼくは、昆虫のことはそこそこ知っていたけれど、それ以外の動物や植物に関する知識となると、非常に心もとない。
 本書には、博物館、とくに地域の博物館がいかにあるべきか、ということが書かれていると同時に、活発な博物館活動が行われていることが理解でき、浜口さんが、学芸員として素晴らしい資質をもった方であったことを知ることができる。
 こちらの地元では、三重県立博物館が新しく生まれ変わる計画があるが、その計画を見ていると、なんとなく行政主導で行われており、博物館活動という点がひまひとつぼんやりしているのが心配である。生まれ変わるなら、本書で「放課後博物館」として扱われているような、市民(県民)とともに活発な博物館活動が行われるような博物館になって欲しいと思う。
 博物館をいかに利用するか、ということを考える上でも、本書は必読の書だと思われる。

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コメント

シンポジウム
「生きもの地図を未来へ~浜口哲一さんの足跡と、これからの道」詳細は以下まで
http://www.mmjp.or.jp/wbsj-k/

投稿: 石井隆 | 2010年8月14日 (土) 11時38分

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