ベニホシカメムシの赤・・・石垣島の林縁にて
【2001年2月12日、沖縄県石垣島バンナ岳の山麓にて】
八重山の森の昆虫の赤と言えばベニボシカミキリの赤だが、林縁の明るい場所に棲む昆虫の鮮やかな赤と言えばベニホシカメムシだ。
何と驚くべきことに、ベニホシカメムシは自分と姿形がよく似たアカホシカメムシを主な餌としている。アカホシカメムシも赤と黒の警告的な色彩をしているが、その赤は深い落ち着いた赤である。それに対してベニホシカメムシの赤は、見るも鮮やかな鮮烈な赤である。
ベニホシカメムシの個体数はアカホシカメムシと比べると遥かに少ない。しかし、アカホシカメムシの集団の中にベニホシカメムシが混ざっていると、その鮮やかな色彩ですぐにそれとわかる。ベニホシカメムシもアカホシカメムシも、その警告的な色彩は捕食者となっているであろう鳥などに信号を発しているはずである。ベニホシカメムシのより鮮やかな赤は、より強い信号を発しているのであろうか。
姿形が似ているベニホシカメムシとアカホシカメムシは食う食われるの関係にある。その関係が作られた進化の過程には何らかの歴史的な巡り合わせがあったのだろうが、その真相は明らかになってはない。ベニホシカメムシのより鮮やかな赤は、何かを物語っているかも知れない。
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