コガシラコバネナガカメムシの繁殖を確認した
ほとんど忘れそうになっていたのだが、と言うのか、見に行くのが億劫で(というのは、職場の畑のいちばん端っこの方なので遠いのだ)見に行っていなかったのだが、ちょっと気が向いたので、一昨年(2008年)の春にネザサの稈に穴を開けておいたところを見に行った。何のためにネザサの稈に穴を開けたのかと言うと、コガシラコバネナガカメムシを採集するためだ。コガシラコバネナガカメムシとは、Pirkimerus japonicusという学名、すなわち「日本の」という名前が付いているにもかかわらず、実は中国からの侵入種だという曰く付きの種だ。この種の生態については高橋(2007)が詳しい。
実は、2007年の春にもネザサの稈に穴を開け、2008年の春に2頭だけ得たことがあるのだが(河野, 2009)、もうちょっと採ってみようと思ったのだ。
たくさん穴を開けておいたので、順に稈を割って行くのだが、最初は何も出てこなかった。7つ目の稈を割ったとき、ついに中から多量のコガシラナガメムシの成虫や幼虫が出てきた。ついに三重県での繁殖を確認することができたわけだ。まだ外はそれほど暖かくないので、越冬中だと判断して良いのだろうが、若齢幼虫から成虫までの様々な発育段階が見られた。
この種の場合、住処であるネザサの稈を割らなければ中の状態を確認できないので、いつ繁殖が始まったのかを確認するのは極めて難しい。とにかく、かなり前から繁殖していたことは確かなようだ。
まわりの環境はこんな感じ。
まだたくさんの穴が残っているので、またそのうちに割り出しをやってみようと思う。
文献
1) 高橋敬一 (2007) コガシラコバネナガカメムシとは何か?−「日本の」という名前を持つ外来種の話−.インセクト,58 (1): 1-14.
2) 河野勝行 (2009) 三重県で初めて採集されたコガシラコバネナガカメムシ.ひらくら,53 (2): 85.
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント