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2010年3月16日 (火)

絶滅危惧種を保護するのは何のため?

 家族揃って(と言いながら、長男は合宿で運転免許を取りに行っているので不在だが)夕食をとっているとき、ラジオからトキの保護について(テンらしき動物に食われたことなど)のニュースが流れてきた。
 これを聞いていた今度高校生になる次男が、「絶滅しそうな動物を保護するって意味ないんじゃねぇ?絶滅しそうだったら、そのままほっておけばいいじゃん。」と言った。これはかなり率直な意見だと思った。トキに関して言えば、相当な税金を注ぎ込んでいるが、その先のことがあまり見えてこない。日本の里山にトキが戻ったところで、自然環境が大きく変わるとも思えない。率直に言って、将来像が描かれていないものに税金を注ぎ込むのは、納税者として納得できないものがある。このように書くと、ぼくが反自然保護論者のように思われてしまうかも知れないが、そのようなことはなく、人間にとって必要な自然は残されるべきだと思っている。
 しかし、生物の種に寿命があることはこれまでの歴史がほぼ証明していると思う。種はいつかは絶滅するのだ。ヒトだって例外ではない。そこで特定の種を保護しようというのは、高橋敬一著『「自然との共生」というウソ』に書かれているように、人間の心に宿る郷愁に過ぎないのではないかと。自分が生きているうちに、そのものがいなくなるのを確認することから目を背けたいだけではないのかと。
 トキは絶滅危惧種に違いないだろうが(と言うか、一度は日本の野生のトキは絶滅した)、絶滅危惧種はトキだけではない。ぼくが石垣島で暮らしていたときに発見して、ぼくの名前が属名に付けられたダルマカメムシ(カスミカメムシ科)の一種にKohnometopus fraxini Yasunaga, 2005というのがあるが、これまでに発見された個体数という視点で見れば、トキよりもはるかに個体数が少ないはずだ。そういう点では、この種も絶滅危惧種に指定される価値は十分にあると思う。しかし、そんな動きはまったくない。それもそのはず、そのような種は数えきれないほどあるからだ。それをいちいち絶滅危惧種に指定していたら、絶滅危惧種だらけになってしまう。
 トキがちやほやされるのは、間違いなく「大きくて目立つ」というところにあると思う。トキは目立つから絶滅が早まったということもあるだろう。トキを積極的に絶滅させるのは許されることではないと思うが、日本の自然に居場所を失って、人間が「保護」してやらなければ生きていけないような種(=トキ)は、無理して長生きさせてやるより、自然のままに任せてしまえば良いのではないかと思う。それが「より自然」ではないだろうか。今回の「テンによる捕食事件」はそれを気づかせてくれる良い機会だと思うのだが、自然保護原理主義者にはわからないんだろうなぁ。

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トキの話題が連日ニュースになっています。また、時を同じくして鎌倉・鶴岡八幡宮の大 [続きを読む]

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