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2010年3月24日 (水)

デイゴとハチのはなし

 ぼくが石垣島を離れたのは2004年4月のことだが、2005年になってから石垣島でデイゴの花が咲かなくなってきたという話を聞いた。その原因は、デイゴヒメコバチという小さなハチがデイゴの花芽に寄生して虫えい(虫こぶ)を作ることにあるとのことだ。天敵WikiのWeb昆虫図鑑によれば、学名はQuadrastichus erythrinaeで、2004年に新種として記載されたとのことだ。ヒメコバチの仲間は他の昆虫に寄生するものが多く、例えばミカンキジラミヒメコバチは、カンキツグリーニング病というカンキツ類のやっかいな病気を媒介するミカンキジラミに寄生するので歓迎されるべき種だ。デイゴの花が咲かなくなって、その原因がヒメコバチによるものだという話を聞いて、最初は耳を疑ったのだが、ヒメコバチの中には植物に寄生するものもいるということなのだ。
 話はデイゴに戻る。デイゴは、石垣島なら、ちょうど今ぐらいの季節から咲き始める春の花だ。デイゴは冬に葉を落とし、葉の無いところに真っ赤な花を咲かせる。もっとも、石垣島の八重山農林高校にの南東側の道路に面したところには白い花を咲かせるデイゴもあるのだが(少なくとも2004年までは咲いていた)。そのデイゴは、季節感やそれを愛でる気持ちを考えれば、日本本土で言うならソメイヨシノに相当する存在であると言っても良いと思う。それぐらい愛されている花だ。だから、デイゴの花が咲かなくなったというのは多くの琉球人にとって大問題だと思う。問題の大きさは、ソメイヨシノが咲かなくなったものと想像してみたらわかるだろう。
 そのようなデイゴであるが、実は琉球在来の植物ではない。インドが原産だとされている。琉球在来でないことは、デイゴが生えている場所をみたらわかる。みんな人の手が入った場所に生えているのだ。昨今の外来種を排除しようという風潮を鑑みれば、デイゴは排除すべき外来生物なのかも知れない。でも、琉球の人にとっては、既に慣れ親しんだ無くてはならない存在になっている。まさに、高橋敬一氏によるところの「郷愁」の効果である。
 そこで、そのデイゴを復活させようと様々な人が対策を研究した。その結果、幹に穴をあけて農薬を処理することでヒメコバチを殺すことができることがわかった。だが、そのためにはお金がかかるという問題がある。
 今日、ぼくの今の職場から2年前に石垣島に転勤したJさんから、竹富島のデイゴを復活させるための募金を募っているので協力して欲しい、という電子メールが届いた。詳しくはこちらをご覧いただきたい。
 最近ぼくがよく読んでいる池田清彦氏のような考え方では、こういうことに税金を投入するのは間違っていることになる。ぼくはその考え方を支持する。だから、有志による寄付を募るのは大いにけっこう、ということになる。もしこのブログを読まれた方で、趣旨に賛同される方はには寄付をお願いしたいと思う。

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コメント

どちらか一方が善、他方が悪といった二元論的な考えではなく、ミカンキジラミヒメコバチの話も含め、外来種やそれに対する人の対応の在り方を、明確に捉え発信されてますね。
私個人としてはとても賛同できる考えでした。
外来種だけの問題ではなく、人類文化的な(あまり適切な表現ではないかもしれませんが)個々の主張の問題だと思います。
このような問題をクローズアップしていることはとても有意義なことであると考えます(上から目線のコメントに感じられたら申し訳ないです。)

投稿: 創 | 2011年5月 7日 (土) 18時26分

創さん、はじめまして、コメントありがとうございます。
 ぼくは科学を基礎に置いた研究者の端くれですので、なるべく正確な情報を発信しようと心がけております。
 外来種の問題は、人によって考え方が大きく異なるので、なかなか難しいと思っています。しかし、少なくとも「外来種をすべて排除せよ」という考え方は、科学的ではないと思っています。また、人間の心の問題とも無関係ではないと思っています。
 高橋敬一著『「自然との共生」というウソ』は、大変参考になる本でした。

投稿: Ohrwurm | 2011年5月 8日 (日) 09時05分

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