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2010年3月20日 (土)

しぜん文化祭inみえ(1日目:2010年3月20日)

 菰野地区コミュニティセンターで開催された「しぜん文化祭inみえ」の1日目のシンポジウムに参加し、ブース展示を見てきた。
 シンポジウムのプログラムは以下のとおり。

第1部「生物多様性の保全と博物館の役割」
基調講演「海やまのあひだ:三重の自然と生物多様性」加藤真(京都大学)
話題提供「身近な川の自然をみんなで調べよう〜市民と博物館の協働による調査研究の事例紹介〜」石田惣(大阪市立自然史博物館)
話題提供「ニホンカモシカをめぐる生物多様性と大学博物館」子安和弘(愛知学院大学)
生徒実践発表「豊かな湧水が育むいきものたち」三重県立四日市西高校自然研究会 The Waders
生徒実践発表「ビオトープ4年目の挑戦」津市立西郊中学校
講演者と会場とのフリートーク
第2部「市民団体と博物館の連携」
話題提供「市民団体と博物館の連携」布谷知夫(滋賀県立琵琶湖博物館)
説明「新県立博物館のめざすもの」三重県生活文化部新博物館整備推進室)

 加藤さんは三重県が自然豊かな地域であることを紹介。石田さんは、淀川水系での市民と一緒になっての調査の事例の紹介。子安さんは、カモシカの現状と標本の管理についての紹介。石田さんと子安さんは、採集した標本の管理の大切さを強調されていた。博物館の役割として、標本の収集と管理は大切なことだと思う。
 四日市西高校自然研究会The Wadersによる生徒の実践発表では、ワンドに棲息するハリヨ(トゲウオ科)の3年間の調査が紹介されたが、その最後で、河川の改修によって去年ハリヨの棲息地が破壊され、ハリヨが絶滅してしまったことが発表され、大変おどろいた。プレゼンテーションを聞いていただけのぼくでも悲しい気分になったのだから、実際に調査をしていた生徒たちにとっても大変無念なことだっただろうと思う。これは、生物を保護しようという動きがある一方で、それとはおかまいなく河川改修が行われるという、大変ちぐはぐな行政が行われていることがあらわになったと言えるだろう。
 第2部では、布谷さんから新県立博物館の役割についての提言があり、そのあとで整備推進室からの新博物館の構想についての説明があった。新博物館の特色となる7つのポイントとして、「協創の視点」、「連携の視点」、「新しい“総合”」、「人づくり・地域づくり」、「公文書館機能の一体化」、「交流創造」、「多彩な展示」が上げられていたが、この中で「公文書館機能の一体化」というポイントがあまりに異質だと思われたので、「そんなスペースを設けるぐらいなら、地域の団体等の発行する機関誌などを揃えるスペースを作った方が良いのではないか」と質問した。時間がなかったので、全体の場での回答はいただけなかったが、会が終わったあと、整備推進室の方がぼくの方に近寄ってきて説明していただけた。その説明を聞いてもあまり納得できるような回答ではなかったが、要するに予算がとれないので公文書館単独では認められず、やむをえず博物館の構想のなかに潜り込ませた、というように理解した。限られた予算なのだから仕方がないとは思わないでもないが、博物館の本来の機能を下げることのないようにして欲しいものだと思う。せっかくの博物館なのだから。
 博物館の開館は2014年が予定されている。あと4年である。それまで三重県に住んでいるかどうかわからないが、地域で活動している団体(例えば三重昆虫談話会)にとって望ましい博物館ができることを期待したい。
 ついでのことではあるが、基調講演をされた加藤さんは、ぼくが大学院に入った時に同じ研究室に机を置いていた先輩である。出席する学会が異なっていたので、就職して以来、初めての再会のような気がする。久しぶりにお話をすることができて有意義であった。
 この文化祭は明日もあるが、菰野町はちょっと遠いので、明日はもう行かないつもりだ。車で慣れない道を走ったので、帰宅したらドッと疲れが出た。

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コメント

「菰野地区コミュニティセンター」という会場名からささやかなイベントを想像しましたが、もっと大掛かりな立派なイベントだったのですね。(失礼しました。)

ハリヨの話、心が痛みますね。絶滅危惧種にはなっていないのでしょうか? 行なわれた河川改修は、本当に必要な改修だったのでしょうか?(洪水を防ぐため?)

投稿: でんでんむし | 2010年3月21日 (日) 11時02分

でんでんむしさん、こんにちは。
2日間の開催ですから、イベントとしてはそれなりの規模だと思います。
それにしても、ハリヨの話は何ともやりきれないものがありました。洪水の危険がある、と言われれば、行政の方も対応せざるをえないのでしょう。それだけ、人間の領域が自然の領域の方に広がってしまっているのだと思います。

投稿: Ohrwurm | 2010年3月23日 (火) 21時29分

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