池田清彦著『寿命はどこまで延ばせるか?』
池田清彦著『寿命はどこまで延ばせるか?』
PHPサイエンス・ワールド新書 004
ISBN978-4-569-77207-3
800円+税
2009年10月2日発行
目次
はじめに
第1章 寿命の起源—生命のはじまりはどこにあるのか
生命の起源についての諸説;代謝システムと遺伝;生物はいかに進化していったのか?;寿命はなせあるのか
第2章 生物にとって寿命とは何か—寿命をもつことの損得
ゾウリムシに寿命はあるのか;減数分裂とは何か;無性生殖と有性生殖と寿命の関係;アポトーシス(細胞のプログラム死)とは何か
第3章 ヒトの寿命は何で決まるのか
分裂細胞の寿命は決まっている;長寿を妨げる要因—病気になりやすい遺伝子;老化をもたらす要因とは
第4章 ヒトの寿命は延ばせるか
がんを予防する生物学的発想;老化を遅らせる方法;人体システムの改造計画
第5章 長寿社会は善なのか
平均寿命があと二十年延びたら?;不老不死の未来社会を空想する
第1章から第3章までは、これまでに得られているヒトの寿命に関係する生物学的な知見に関する解説である。池田氏は生命科学に直接関わっている人ではないので、すべて他の研究者などの成果を引用したものであるが、おそらくほぼ適切にまとめられていると思う。
第4章では、第3章までに書かれたことをもとに、ヒトの寿命を延ばす可能性について考察されている。
第5章は、もしヒトの寿命が延びたら、という仮定での池田氏の空想である。ここでの空想はSFショートショートのようなものだが、池田氏が、長寿社会はかならずしも人類にとって幸福なものではない、と想像していることがわかる。
現代でも寿命が延びつつあるが、それによって新たに生じた問題はたくさんある。池田氏のような極端なことを想像しなくても、長寿社会が決して望ましいものではないことはわかる。でも、長生きしたいと思っちゃうのが人間なんだよね。
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