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2009年12月11日 (金)

団まりな著『生物の複雑さを読む 階層性の生物学』

団まりな著『生物の複雑さを読む 階層性の生物学』
平凡社・自然叢書30
ISBN4-582-54630-7
2,330円+税
1996年2月20日発行
226 pp.

目次
第一章 複雑さと階層構造
第二章 生物進化がたどった体制の諸階層
第三章 栄養摂取法の階層構造
第四章 ハプロイド細胞とディプロイド細胞は異なる階層単位である
第五章 有性生殖は階層間を移行する生物固有の能力である
第六章 生殖法の諸階層
第七章 個体発生がたどる体制の諸階層
第八章 物質の階層構造:その基本的性質
長いあとがき
参考文献

 津市津図書館の生物学関係の書棚を物色していて見つけた。著者の「団まりな」という名前はあちこちで見たことが見たことがあったが、直接的な接点がなかったので、どんな人かは知らなかった。
 本書では、生物の複雑さを指標としてとらえ、生物がいかにして進化してきたかを考えている。包含関係あるいは新機能の付加によって生物を階層的にとらえている。本書が書かれたのは1996年であるから、この分野の本としては、もうかなり古い本だと言って良いのだが、ぼく自身はこのような考え方で生物をとらえたことがなかったので、かなり新鮮な気持ちで読むことができた。
 原核細胞、ハプロイド細胞、ディプロイド細胞、上皮体制、間充織体制、上皮体腔体制、脳・中枢神経系はこの順に複雑化された生物の異なった階層であり、それらの体制の中で現象をとらえることは、生物を理解することの助けとなると思われる。
 著者は、細胞という単位を基本的にとらえており、その構造が重要であると言っているようである。この点では、池田清彦氏が言うところの構造主義生物学と共通するように思われるが、本書には「構造主義」という言葉は一か所も現れていない。池田清彦氏の主張するところの構造主義生物学は、概念だけしかなく、具体的なモノが示されていなかったので、何が言いたいのかよくわからなかったが、本書では、具体的なモノを示して語られているので、概念的な構造主義生物学より遥かに理解し易いと思えた。でも、著者の考え方は構造主義生物学的なのだろうと思う。
 著者は長いあとがきの中で、還元主義だけでは生物を理解することはできない、と書いている。このことは、最近読んだ福岡伸一氏の一連の著書にも書かれているが、分子生物学一辺倒の時代だったと思われる1996年という時期に、既にこのようなことを述べていたとは、かなり勇気が必要だったのではないかと思う。さらに、日本における自然科学研究の体制についても、日本語の重要性を強調したり、過度の業績主義を批判するなど、かなり批判的なことが書かれており、これも勇気が必要なことだったのではないかと思う。
 全体的に見れば本書は、著者である団まりな氏がどのように生物を見てきたか、ということを総括したものであり、かなり理屈っぽい記述が多いものの、生物を理解するのに大きな助けになるのではないかと思う。この分野の現状については知らないが、今でも生物に対する考え方の上で参考になる本だと思う。

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