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2009年7月15日 (水)

いしもりよしひこ(石森愛彦)著『うちの近所のいきものたち』

いしもりよしひこ(石森愛彦)著『うちの近所のいきものたち』
2009年6月29日発行
ハッピーオウル社
ISBN978-4-902528-34-3 C0045
1500円+税

Ishimori_001

もくじ
 はじめに
4月 春です。チョウがさかんにとびはじめました!
 アブラムシ退治はテントウムシの幼虫で!
5月 カメムシいろいろ
 クズの虫たち
 このアオムシはなんの幼虫でしょうか?
 カマキリ誕生!
6月 ビオトープで見られるトンボ
 コウガイビルってしってる?
 アゲハの羽化を見よう!
7月 虫はだいすきヤブガラシ
 カナヘビを飼ってみました
 ヤモリは夜、でてきます
8月 セミがなきたててこそ、日本の夏!
 8月は虫にとっても暑い!
 夕方、コウモリがとびまわります
9月 夜、コオロギたちの合唱です
 ガガンボ出現
10月 赤トンボが急にふえます!
 この時期のカマキリ
11月 晴れた日には、まだチョウがとぶけれど
12月 ベランダに小鳥をよんでみました
1月 冬の虫さがし
 冬、カモの集まるところ
2月 「メスしかいない?」冬のヒゲジロハサミムシ
 こんな鳥が1羽だけ、いました
3月 ヒキガエルの卵とオタマジャクシの観察


 著者の石森愛彦さんから新刊を贈っていただいたので紹介したい。
 著者の石森愛彦さんは多才な方なので、なんという肩書きにしたら良いのか迷うのだが、とりあえずイラストレーターであることは確かだ。昆虫関係では、吉村仁先生の著書『素数ゼミの謎』の挿画を描かれている。
 石森さんには、出版社の方と一緒に、一昨年の4月に我が家を訪ねていただいた。子供向きにハサミムシの本を作りたいということで、ハサミムシの生態について色々お話をしたのだった。それだけでは十分ではなく、その年の7月には電話をいただいて、またハサミムシの話をした
 結局、ハサミムシの話だけで本を作るという計画は立ち消えになってしまった、とその後伺っていたのだが、その代わりに(というわけでは無いと思うのだが)ハサミムシの話が盛り込まれてできたのが本書『うちの近所のいきものたち』だと思う。
 石森さんは、東京都板橋区の街中にお住まいだ。本書には、石森さんのお宅の近所の生き物が、一年を通して描かれている。板橋区には大きな公園もあるとのことだが、ここに登場するのは、石森さんのお宅と、その近所にある学校のビオトープで見られる生き物だ。だから、特別に珍しい生き物が登場するわけではなく、ごく普通に見られる生き物が主役となっている。哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類も登場するが、主役はやはり昆虫だ。描かれている昆虫の種類も多岐にわたっているが、冒頭に書いたように、無視されることが多いハサミムシ(ヒゲジロハサミムシ)についても、きちんと描かれているところが嬉しい。
 季節は4月から始まり3月で終わっている。この一年を通して、"石森流"の観察術が描かれている。添えられている言葉も、"石森流"だ。アゲハの幼虫の飼育のところでは、『さなぎからこんな虫がでてくることもよくあります。寄生バチと寄生バエです。さまざまないきものがすんでいる地球、しかたありません。』とか『羽がきれいにのびないこともあります。「目の前で見る」とは「成功の保証がない」ということ。だからこそ感動するんだと思います!』とか書かれているが、これは自然の捉え方や感じ方としては極めて正しいと思う。様々な普通に見られる生き物に対して、しっかりした観察がなされており、それが"石森流"の表現で、実に効果的に描かれていると思う。
 都会で生き物の観察をするのは難しいような気もするが、この本を読んでいると、どこに住んでいても生き物の観察はできるものだと感じさせられる。
 本書はイラスト満載の本で、写真は一切載っていない。しかし、イラストは丁寧な観察に基づいて実物に忠実であるので、下手な写真よりもよほど説得力があると思う。生き物の観察のためのガイドブックとしても、本当にお薦めだと思う。

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コメント

ハサミムシ先生、
>ヤモリハ夜、でてきます
    ↑
    は

でんな。  夏の夜はよろし!

変なおじさんはヘッドフォンにビーチサンダルでコンビニに行きます。夜のアブラゼミも
よろし!

どこかの店で山羊ソバやってないかな(^^;
京都じゃ無理か。

投稿: 熊80 | 2009年7月15日 (水) 23時23分

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