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2009年6月 7日 (日)

岡本裕一朗著『異議あり!生命・環境倫理学』

岡本裕一朗著『異議あり!生命・環境倫理学』
2002年12月20日初版発行
ナカニシヤ出版
ISBN4-88848-737-5
2600円+税

目次
 はじめに
 序章 生命と環境の「倫理学」は必要か
第I部 生命倫理学はいらない!
 第1章 中絶はいかにして可能か
  1 自分の体は自分のもの
  2 殺してもいいもの、いけないもの
 第2章 臓器移植を効率的に
  3 五人のために一人を殺す
  4 臓器は売買してもいい
 第3章 「自己決定」批判に反対!
  5 安楽死は容認できないのか
  6 インフォームド・コンセントは何のために
  7 遺伝子改造社会の生命倫理学
第II部 環境倫理学の袋小路
 第4章 人間中心主義で悪いか
  8 動物の解放!?
  9 ディープ・エコロジーと生態系主義
 第5章 予言された「人類滅亡」!?
  10 環境汚染と資源の枯渇は必然的か
  11 「豊かな社会」と「人口爆発」のジレンマ
 第6章 環境保護にはウラがある
  12 ファッションとしてのエコロジー
  13 政治としてのエコロジー

ブックガイド
おわりに
事項索引
人名索引

 生命倫理学と環境倫理学の立場から、さまざまな生命に関する問題や環境に関する問題がどのように扱われてきたかが、様々な観点から解説されている本である。著者としての「こうあるべきだ」ということは意見は書かれておらず、客観的な立場からこれまでにどのような意見が提案され、現在どのような点が問題として残っているかが書かれている、というように思われた。
 一応、第I部も第II部も読み通したが、ぼくが興味があったのは第II部に書かれていた環境問題に関することだ。
 ぼくが「環境保護」などに関して、実際に社会で行われていることに、しばしば違和感を感じることがあり、その理由がわからなかったことが多かったが、この本を読むことにより、「環境問題の歴史」などを知ることができ、有益だったと思う。
 ただし、著者は歴史と現状と問題点のみを解説しているだけで、著者の主張はほとんど書かれていないので、「どうすべきか」ということは、読者自身が考えなければいけない。
 この本は、様々な環境問題を網羅していると思われるので、この本を読んだあとで高橋敬一著『「自然との共生」というウソ』を読むと良いかもしれない。

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