コナガ用の性フェロモン誘引剤に誘引されるのはコナガばかりではない
今日は職場内の調査をしたが、コナガ用のフェロモントラップに捕獲された虫を回収する日ではないので、ちょっと覗き見しただけだ。
中に入っているのはコナガではない。キリガと呼ばれる、秋から冬を挟んで早春に活動する中型のヤガの仲間だ。中に入っている種は、属で言うとOrthosiaという属になり、けっこうたくさんの種類が日本に分布している。この仲間は早春に成虫になって活動する種類だ。
今週の月曜日に調査した時、この春初めてのキリガの仲間の捕獲が確認された。入っていたのはホソバキリガという種類だった。月曜日に粘着板を交換したので、今日見たのは、月曜日以降に捕獲されたものだ。けっこうたくさん入っていた。本来の目的のコナガは全く入っていなかった。
キリガの仲間は、害虫でも何でもないので、性フェロモンの研究は全く行われていないと思うのだが、おそらくコナガの性フェロモンと共通の成分を持っているのだと思う。
実は、月末に北海道大学で開催される第53回日本応用動物昆虫学会大会では、このあたりのことについて発表する予定になっている。
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コメント
「類似した構造を持っているのであらう」
が正確な表現でしょう。たぶん。
http://www.nysaes.cornell.edu/pheronet/index.html
学名がわからないので理解できません。
ところで、最近職場の裏口でハクセキレイのような鳥を見かけます。なんと、タイルの上に糞もあります。
そういえば、室内の環境が望ましいのか、サッシの下から蚊が入ってきます。ハクセキレイもどきはこれを食べているようでした。
投稿: 熊80 | 2009年3月 6日 (金) 10時26分
熊はん、どうもです。
コナガの性フェロモンに限りませんが、フェロモンが単一成分から成っているというのはむしろ少なく、多くの昆虫のフェロモンは複数の成分から成っています。コナガを誘引するための合成性フェロモン剤は、(Z)-11-ヘキサデセナールと(Z)-11-ヘキサデセニルアセテートと(Z)-11-ヘキサデセン-1-オールが50:50:1の比率で混合されたものです。
ですから、キリガの仲間の性フェロモンが「類似した構造を持っているのであらう」という可能性もないとは言えませんが、ぼくはこのうちのいくつかを共通の成分としてもっている可能性が高いのではないかと推測しています。
セキレイはハクセキレイかセグロセキレイのどちらかではないかと思います。セキレイの仲間の主食は昆虫類だと思います。腹がへっていれば小さな虫でも食べるのだと思います。
投稿: Ohrwurm | 2009年3月 6日 (金) 18時11分
そうでしたか。混合は予測したのですが、
日本語のサイトで他の虫のフェロモンの
単独の構造式を見たので早合点しました。
投稿: 熊80 | 2009年3月 7日 (土) 09時21分
熊はん、確かに性フェロモンが単一成分のみからなると考えられているものもあり、単一成分からなる誘引剤もありますし、ウリミバエの雄が性フェロモンではない物質であるキュールアのようなものに誘引されるという例もありますので、雄が化学物質に誘引されるという話はそう単純ではないんですよ。
投稿: Ohrwurm | 2009年3月 7日 (土) 23時17分