オオセスジエンマムシ
仕事で生物多様性がらみのことをやっているので、トラップに入った動物の名前を調べなければいけない立場に追い込まれている。自分は、農業害虫を研究している人の中では、まだ昆虫の名前を知っている方だと思っているが、真剣に昆虫採集をしているアマチュア研究家の足元にも及ばない同定能力しかないと自認している。
ある場所に仕掛けたトラップに特徴が際立った甲虫の一種がけっこうたくさん入ったのだが、なかなか名前がわからなかった。甲虫類は種数が際立って多いので、どの科に入るのかさえ見当がつかないことも多い。最初はゴミムシダマシの仲間だと思って図鑑のゴミムシダマシのところを一所懸命見ていたのだが、該当する種は見つけることができなかった。それを長いことそのままほってあったのだが、今日、一念発起して同定する決意をした。
とにかく、甲虫図鑑を片っ端から(と言っても、コガネムシでもゴミムシでもタマムシでもコメツキムシでもテントウムシでもホタルでもゾウムシでもハムシでもカミキリムシでもないことはわかっているので、それ以外のところを)探してみた。すると、思いがけないことに、何とこの虫はエンマムシの仲間だった。ぼくの持っているエンマムシの印象は、滑らかな艶がある丸っこくてやや扁平な虫、というものだったので、この深い襞のある丸っこい虫がエンマムシの仲間には見えなかった。
とにかく、これで一件落着である(とは言え、他に同定する必要のありそうなものはたくさんある)。
ところで、エンマムシは何故エンマムシと呼ばれるようになったのだろうか?閻魔様と関係があることは疑い無さそうだが、どこが閻魔様に似ているのかわからない。まあ、虫の名前は一つの記号に過ぎないのだから、あまり深く考える必要もないのだが。
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コメント
あてずっぽでハナムグリ、と言ってみましたが違いましたね。
WIKIより、
動物の死体等の腐敗動物質や糞便に飛来する種類がよく知られ、「閻魔虫」の名も死体に集まる習性に由来する。
投稿: 熊80 | 2009年1月20日 (火) 22時08分
熊はん、どうもです。
閻魔様のお裁きを受けるために亡者が閻魔様の前に集まるわけですから、屍体に集まるからエンマムシというのは、ちょっと逆のような気がしますね。
このオオセスジエンマムシは獣糞に集まる種のようです。おそらく、畑には未熟な堆肥が使われていたのでしょう。
投稿: Ohrwurm | 2009年1月20日 (火) 22時17分
動物の死体に集まるものが多いので、死人に関係する閻魔様に掛けたというのが定説です。生物の名前が記号というのはひとつ見方ですが(私はそうは思いませんが)、いろいろと面白い由来のあるものがたくさんありますので、私は考察するのも面白いと思います。
投稿: 丸山 | 2009年1月20日 (火) 22時39分
へえ~~.いいなあ.まだこいつがいるところがあるんですね.県内ではかつて某牧場にたくさんいたようですが,そこは現在閉鎖されこの虫もみられなくなったそうです.僕はまだ生きているこの虫をみたことがありません.恥ずかしながら.
ゴミ捨て場などの腐った野菜(に発生するディプテラ幼虫?)なんかに来てるのかなあ.
投稿: ぱきた | 2009年1月20日 (火) 23時31分
丸山さん、どうもです。ぼくは、虫の名前は記号だと思うようになりましたが、やはり名前がついたのには、それなりの理由があると思いますので、その起源を調べてみるのは面白いことですね。でも、やはり屍体と閻魔様の関係は逆だと思います。
投稿: Ohrwurm | 2009年1月21日 (水) 06時45分
ぱきたさん、どうもです。ぼくもまだ生きたものは見たことありません。某有機農家さんの畑のピットフォールトラップにたくさん入りました。10月から年明けにかけて100頭以上得られました。ぱきたさんの家からもそれほど遠くないところですよ。
投稿: Ohrwurm | 2009年1月21日 (水) 06時49分
ハサミムシさん、
エンマコオロギもいるわけで、
エンマの大安売り状態なのでしょう。
投稿: 熊80 | 2009年1月21日 (水) 09時20分
>やはり屍体と閻魔様の関係は逆だと思います。
閻魔様も「出張鑑定」する、ということでしょう。
投稿: Zikade | 2009年1月21日 (水) 11時20分
閻魔には2つのイメージがあると思います。
1つは「恐い顔」のイメージ。「地獄八景亡者戯」を思い出してください。
そして「死」のイメージ。方向は関係ありません。
投稿: chunzi | 2009年1月21日 (水) 11時32分
エンマコオロギの顔は閻魔様の顔を連想させます。故枝雀師の閻魔様の顔を見てみたいです。DVDが出てるかな?
投稿: Ohrwurm | 2009年1月21日 (水) 20時44分
枝雀さんは敢えて恐い顔をなさってなかったかもしれません。
投稿: chunzi | 2009年1月21日 (水) 23時19分
本種は某牧場が閉鎖ではなく、リニューアルしてからオオフタホシマグソと共に消えました。
伊賀市、松阪市などでも少しですが採っています。
開放的で普通採集しない(したくない)環境なので、ぱきた氏はあまり縁がないのでしょう。
私はすべて牛糞下で採ってます。
でも多数生息しているようなので興味をそそります。
投稿: シロヘリ | 2009年1月24日 (土) 17時32分
シロヘリさん、どうもです。
この虫は、やっぱり採りにくい虫なんでしょうか?一か所だけなんですけど、全部で100頭ぐらい採れました。だから普通種に違いないと思っていました。採れた場所は未熟な堆肥を使っている畑なので、おそらくその堆肥に混入していたのだと思っています。
投稿: Ohrwurm | 2009年1月24日 (土) 19時35分