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2008年11月17日 (月)

獣の糞に集まるフンバエ

 今日は週に2回の調査の日だ。ヒメジュウジナガカメムシは11月6日を最後に、もう姿を見かけなくなってしまった。タヌキと思われる獣の糞がある場所には、やや新しい糞が増えていた。これまでも、1頭、2頭ぐらいは見られていたのだが、今日は10頭近いフンバエの仲間が集まっていた。フンバエの種名はよくわからないが、ヒメフンバエではないかと思う。獣の糞の表面には、無数の白い粒が見える。おそらくフンバエの仲間の卵だろう。フンバエの生態についてはよく知らないのだが、これから冬に向かうというのに、この糞を利用してゆっくり成長していくのだろうか。それとも、冬が来る前に急速に成長して、冬になる前に蛹が成虫になるのだろうか。獣の糞をいじるのはあまり気が進まないが、これから暫くの間の観察の楽しみになるかも知れない。
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コメント

フンバエ科ではありません。ベッコウバエ科です。標本がないと確実なことはいえないのですが、ベッコウバエの可能性が高そうです。北海道でも夏からぼちぼち出現するのですが、私の仕掛けてある腐肉食性ハエ類の調査トラップでは、9月から10月にかけて2種のベッコウバエ科の捕獲個体数が爆発的に増えてきます。11月になってもまだ飛来は続いていて、今そのうちの1種を室内採卵して飼育を始めています。

投稿: ウミユスリカ | 2008年11月17日 (月) 21時04分

ウミユスリカさん、こんにちは。ご指摘ありがとうございました。ネットで画像を検索すると、ベッコウバエの仲間のようでした。まともに調べることもなく、このような形のハエはフンバエの仲間だと、ずっと昔から思い込んでいました。今日はたまたま個体数が多かったですが、いつもはそれほどたくさん見られるわけではありません。でも、今、個体数が多い時期なのかも知れないですね。

投稿: Ohrwurm | 2008年11月17日 (月) 23時14分

>> これから冬に向かうというのに、この糞を利用してゆっくり成長していくのだろうか。それとも、冬が来る前に急速に成長して、冬になる前に蛹が成虫になるのだろうか。獣の糞をいじるのはあまり気が進まないが、これから暫くの間の観察の楽しみになるかも知れない。

幼虫は糞塊に潜るか、糞塊と土の間に潜るかすると思いますので、野外での発生をそのままの形で確認するのは少々難しいと思います。

ホームセンターの台所用品コーナーなどで売っているPET製の食品ポット(私はアートナップ製の710ml容量のものを愛用しています)に保湿剤として寒天を流し込み、そこに糞塊を置いて追跡観察するとよいでしょう。ポットの上面は本来の蓋ではなくクッキングペーパー(ライオンのリードがよい)を輪ゴムでとめて塞ぎます。

次にクワガタ飼育などで用いられているプラスチック飼育ケースで先ほどの食品ポットがすっぽり入るものを用意します。ここに園芸用品店で売られている川砂を乾燥させてからふるいでふるった細砂をしっとりする程度に湿らせて数cmの厚さに敷き、糞塊を入れたポットを据えます。飼育ケースの上面にさらにクッキングペーパーを被せ、その上から備え付けの蓋を閉めます。

こうすれば餌の乾燥、密閉と餌の発酵による酸欠を防ぐことができます。成長しきった幼虫は食品ポットを這い出してクッキングペーパーを突き破り、砂に潜って蛹となります。壁面を這い上がる能力は液状化した餌の粘着力によるので、砂の上を這い回った後にはこれが拭い去られて飼育ポットを這い上がることはできなくなります。

自然条件下での生活史を再現するためにはこれをタヌキの溜め糞の隣接地に置くとよいですが、動物にいたずらされないように飼育ケースの取っ手と樹木をビニルコーティングされたカラー針金で結んで固定しておくとよいと思います。

投稿: ウミユスリカ | 2008年11月18日 (火) 15時18分

はじめまして!ひょーたくれといいます。虫が大好きなもうすぐ40歳(男)です。台湾の少数民族の言語を研究しています。実は、「昆虫 ウミユスリカ」でグーグルからたどりつきました。ウミユスリカさんには、新婚旅行で長崎に行ったときにお世話になったきり連絡をせずにいるので、ずっと気になっています。ウミユスリカさんに連絡を取り、あのときのお礼と近況報告をしたいと思っています。

実は、昆虫学について質問があります。奥本先生の『虫の宇宙誌』を読んでいたら、フトオアゲハの文章で、学名がのっていました。その学名に含まれる maraho は、アタヤル語で chief, lord, ancester などを表す語に由来すると思うのですが、一般に昆虫に学名を付ける場合、用いた語の原義(この場合はアタヤル語の意味)などは正しくどこかに記載されるのでしょうか。命名した人が書いておかないと、なぜ学名がそうなのかがわからなくなってしまうと思うのですが…。これについて教えてください。

それと、昆虫学者の皆さんのフィールドワークの話が聞きたいと思っています。実は僕も言語学のフィールドワーカーのはしくれなのですが、今度大学の特別講義で「私にとってフィールドワークとは」みたいな話をすることになっていて、それに「昆虫採集みたいなもの」と答えようと思っています。ビルマの熱帯雨林では世界から来た昆虫学者が、文字通り命をかけて、急流を渡ったりしながら昆虫採集をしていると聞きました。そういう昆虫採集があって初めて、昆虫学や生物学が成り立つのですよね?そういうイメージがあります。これでいいかどうか専門家のご意見を伺いたく思っています。

それでは失礼いたします。

投稿: ひょーたくれ | 2008年11月19日 (水) 11時36分

ウミユスリカさん、詳細なご助言ありがとうございました。でも、なかなかそこまでやる余裕は無さそうです。せいぜいトラップを巡回するときに様子を見るぐらいで精一杯です。

投稿: Ohrwurm | 2008年11月19日 (水) 18時34分

ひょーたくれさん、はじめまして。ウミユスリカさんのお知り合いとのこと。
 ご質問に対して、お答えしたいと思います。ぼくは昆虫学専攻ですが、分類学ではなく、生態学ですので、自分で虫に名前を付けることはしません。種の記載論文はそれなりの数を読みましたので、わかる範囲でお答えしたいと思います。記載論文にetymologyがはっきり書かれている場合もあります。例えば、誰か(主に発見者)に献名したりする場合には、はっきり書かれているように思えます。形態に基づいた名前が付けられているような場合は、必ずしも書かれていないように思えます。このあたりは、気をつけているわけではありませんので、認識が間違っているかも知れません。
 次にフィールドワークですが、ぼくの場合は、基本的には、虫の個体数を数えることとか、行動を観察することなどです。分類学を専攻されている方などは、ぼくとはフィールドワークのやり方は全く異なると思います。道無き道を進み、誰もいないような場所で昆虫採集をすることも多いと思います。
 逆に質問ですが、言語学者さんのフィールドワークとはどんなものなのでしょうか?なかなか想像がつきません。
 

投稿: Ohrwurm | 2008年11月19日 (水) 18時46分

ひょーたくれです。Ohrwurm さん、お返事ありがとうございました。「はじめまして」ではないかもしれません。実はお名前はFKONCHUで何度もお見かけしていましたし、ひょっとしたら発言にレスをいただいたことがあったかもしれません。
 ウミユスリカさんには、新婚旅行の時にいろいろなところに車で連れて行っていただきました。コシマゲンゴロウを捕まえていただいたり、たびら昆虫自然園を案内していただいたり。夜は佐世保で、湯葉をごちそうになりました。とても印象的な新婚旅行になり、感謝しています。
 質問に対して、答えてくださりありがとうございます。記載論文にetymologyがはっきり書かれている場合もあるとのこと、つまり、すべての場合に語源が書かれるわけではないということですね。
ついでに質問ですが、たとえばフトオアゲハの記載論文を読みたいと思った場合、どうやって検索すればよいでしょうか。個人的にゆかりのある種があるので、読んでみたいと思っています。
 Ohrwurm さんは、虫の個体数を数えたり、行動を観察するフィールドワークをなさっているんですね。僕のイメージしたフィールドワークは、分類学のフィールドワークということですね。
 言語学のフィールドワークですか?これも研究対象によっていろいろでしょうが、僕の場合は記述言語学、それも先行研究が乏しく全貌が明らかになっていない言語なので、その言語が話されている場所へ出かけて行き、そこでありとあらゆることばを記録します。僕の場合、台湾なので、「道なき道を行く」というイメージではないですが、それこそ自分で船をこいで目的地まで行く人もいますし(女性!)、ジャングルを歩いていく人もいます。
 逆に「フィールドワークをしない言語研究」の方がイメージしやすいかもしれません。どういうのかというと、文法研究であれば具体的には文法を調べるために自分で文を作例し(自分の頭ででっちあげ)、それについて自分で文法性・許容度を判断して、文法を調べるというものです。そういう研究はえてして頭でっかちになりがちで、科学的ではなくなります。たとえば

[1]「太郎にドイツ語の本が読める。」

などが文法的だと判断されます。これ、普通の人ならOKとはいいませんよね。


[2]「太郎にドイツ語の本が読めるわけがない。」

などとすれば許容できる文になりますが。つまり、[1]が許容できるのは、[2]が成立するというのを知っているからであって、そのようなことを知らない人、つまり言語学の素養がない人が普通に[1]を聞いたら「おかしな文」つまり許容度の低い文と判断するでしょう。普通は

[3]「太郎はドイツ語の本が読めない。」

といいますよね。
 フィールドワークをする文法学者は、あくまでも「言語学など知らない普通の話者」の判断を基準にしますから、たとえば日本語をフィールドワークをしたら、[3]が文法的で[1]は非文法的と判断して、そこにどのような文法規則があるかを考えていくことになります。
 イメージがわきましたでしょうか?

投稿: ひょーたくれ | 2008年11月20日 (木) 00時32分

ひょーたくれさん、FKONCHUにも参加されていたんですね。気が付きませんでした。

 ところで、ぼくのフトオアゲハの記載論文の調べ方は次のとおりです。
 まず、ネットで学名"Agehana maraho"を検索します。するとたくさんのサイトがヒットすると思いますが、その中で、命名者と命名年がわかるサイトがある可能性があります。実際にやってみるとAgehana maraho (Shiraki & Sonan, 1934)という文字列が見つかるサイトがありました。つまりここで、ShirakiさんとSonanさんが共著で1934年に発表した論文に記載されていることがわかります。ShirakiさんとSonanさんは、虫の世界では有名人で、それぞれ素木得一さんと楚南仁博さんです。さらに「素木得一」と「楚南仁博」と「1934」をキーに検索すると、いくつかのサイトがヒットします。すると、次の論文と思われるPDFファイルにそれらしい記述があることがわかりました。
http://conservation.forest.gov.tw/public/Attachment/61241757671.pdf
 読んでみると論文であることがわかりましたので、その引用文献を見ます。すると次の論文が引用文献にありました。
素木得一,楚南仁博。1934。新に発見られたゐフトオアゲハに就いて。Zephyrus 5: 177-182.
 つまり、1934年に発行された"Zephyrus"という雑誌の5巻の177ページから182ページに記載されていることがわかります。たぶん「ゐ」は「る」の誤植でしょう。このPDFファイルの論文は台湾人が書いたものなので、これぐらいの誤植はあると思います。
 あとはOPACで"Zephyrus"の所在情報を調べれば、どこにこの雑誌が所蔵されているかがわかります。

 言語学のことはご説明いただいてもよくわかりませんでした。でも、たいへん手間がかかりそうなことだけは想像がつきました。
 ぼくの言語学に関する知識レベルは、ソシュールの名前は知っていても、どんなことを書いているのかということは知らない、という程度です。

投稿: Ohrwurm | 2008年11月20日 (木) 19時12分

ひょーたくれ様、大変ご無沙汰しております。あれから長崎を離れて、血清反応陰性脊椎関節炎という難病と戦いながら、北海道で大学院の博士課程で研究を続けております。1週間で動けるのは1~3日くらいなので、本当に息も絶え絶えではあるんですが、学会や研究会なんかもちょっと無理をして出かけたりしております。ひょーたくれ様はお元気にお過ごしでしょうか?

メールアドレスは前と同じものをずっと使っております。

投稿: ウミユスリカ | 2008年11月20日 (木) 22時32分

Ohrwurm さん、ウミユスリカさん、

Ohrwurm さん、調べ方を教えてくださり、ありがとうございます。大学を離れてはじめて「大学にいる間に昆虫学教室」にでも行って訊いておけばよかった」と後悔しています。大学がいかに恵まれた環境であるかに、学生時代はまったく無自覚でした。さっそくそのフトオアゲハ論文にあたってみます。

言語学が理解しにくい分野であるのは確かですね。具体的な言語分析の手順は実はひじょうに明快なのですが…。むしのきらいな人に、むしがいかにおもしろいかを納得させるのに似た難しさがあるように感じています。

ウミユスリカさん、お久しぶりです。僕が今使っているアドレスは、以前と変わりないアドレス(infoweb)と、最近は「nojima。motoyasu◎gmail。com」というのを利用しています。全角文字は半角に置き換えてください。「。」は半角ドットに、◎は「@」です。心に残るおもてなしをしていただきながら、結婚後のばたばたぐちゃぐちゃのためにお礼ができずに申し訳ありませんでした。昆虫学、生物学、自然史のことも教えていただければ幸いです。

僕は、今は明石(兵庫)に住んでいます。妻が先に専任の職を得まして、僕は毎週月曜日に明石から新幹線で神奈川の大学に非常勤に通っています。いちおう言語学が教えられるので満足していますが、ときどき振り替え休日で月曜日が休みになると、火曜日の授業だけになり、そうすると「お金を払って教えに行く」みたいなボランティアになってしまい、うつになります。

ウミユスリカさんはご闘病とのこと、お察しします。でも、お好きな研究がおやりになれているのですね。僕も経済的には妻に依存していますが、平日三日間は研究三昧の生活ができるので、満足しています。まだ博士の学位が取れていませんので、目下の目標は博士論文を書くことです。頭の中ではすでにできているので、あとは出力するだけです。

今きがかりなのは、応募している来年の国際学会が採用になるかどうか、ということで、開催地フランスからのメールを一日千秋の思いで待っています。来年、南仏(イタリア国境近く)の Aussois という田舎町でおこなわれるのです。まだ採用になる前から、旅行ガイドとフランス語会話集を買って、にまにましています。では、またいろいろ教えてください。

投稿: ひょーたくれ | 2008年11月21日 (金) 00時18分

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