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2008年5月 1日 (木)

中嶋正人著『蝶はしたたか はてさて人は』

中嶋正人著『蝶はしたたか はてさて人は−自然とつきあい、見えてきたこと』
2007年11月15日発行
文芸社
ISBN978-4-286-03662-5
1,900円+税

 津市津図書館で見つけて借りてきた。蝶の写真を撮ることを通して自然と接してきたアマチュアの蝶愛好家によるエッセイ集である。「はてさて人は」という表題がつけらえてるように、自然を見る事によって見えてきた自然の「しくみ」を人間にあてはめて考えた事が随所に書かれてる。現代では人間が家畜化されてしまって、種としての人間もあぶないのではないか、というようなことも書かれている。
 全体として共感できることが多く、自然の見方はぼくと共通することも多いように感じられた。しかしながら、著者自身の体験をもとに書かれてる部分は良かったと思うのだが、本などを通して著者が身につけた知識だと思われる部分には、用語の誤用などもあり、読んでいて気になった。具体的には、「夏に南西から吹く季節風」のことを「偏西風」と呼んだり、「冬に北から吹く季節風」のことを「貿易風」と呼んだり、「モンシロチョウに夏眠する性質がある」と書いてあったり(実はぼくが不勉強で知らないだけなのだろうか?)、ダーウィン流の進化理論のことをあまり理解していなかったり、というような部分だ。出版元が自然科学系の出版社ではないので、編集ではこのあたりのチェックはできなかったのだろう。
 著者は本書の中で自身が文系人間であり専門家ではないと書かれているが、自然の見方としては、それほど違和感を感じるものでもなかった。人間と自然が離れていってしまっている現状がまずいと指摘しているところは、理系人間であるぼくから見ても同じだ。細部にはやや引っかかりもあったが、全体的にみれば良書だと思った。

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