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2008年1月11日 (金)

フランス訛りのフォーレ

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 本当に久しぶりにコンサートに出かけた。三重県総合文化会館でリゴレットを観て以来のような気がしたので、何時のことだったか調べてみたところ、何と2004年10月11日のことだった。その後、気分が落ち込むことが多く、コンサートに行く気にならなかったことも影響していると思う。その前だったか後だったか合唱団「うたおに」や<<EST>>のコンサートにも行ったような記憶があるが、いつの事だったか、全く憶えていない。記憶力の減退が甚だしい。
 今日のコンサートは宇田川さんという人が指揮をして合唱団「うたおに」がフォーレのレクイエムを歌う、という話だけを聞いて、妻に誘われるままに出かけた。特に大きな期待はしておらず、気分転換ぐらいになるのではないかと思ったのだが、これは良い意味で大きな誤算だった。
 指揮は宇田川貞夫さん。昨今の音楽界の事情には疎いので、どんな人だかよく知らないが、妻によれば素晴らしい音楽を作る人だということだ。とにかく、プログラムとその演奏内容が凝っていた。ある種のマニアックなものを感じた。
 プログラムは以下のとおり。

  • 小ミサ Messe basse/ Gabriel Fauré
  • ラシーヌ賛歌 作品11 Cantique de Jean Racine/Gabriel Fauré
  • レクイエム 作品48 Messe de Requiem/Gabriel Fauré

 これを書いただけならすべてフォーレの作品であること以外は何の変哲も無いものだが、内容はそうではなかった。
 最近では、オリジナルにこだわる演奏も色々あるようだが、このコンサートはまさにそれだった。ラシーヌ賛歌はもともとフランス語の歌詞がついているが、そのほかはラテン語だ。しかし、「曲が作られた当時はフランス訛りのラテン語で歌われていたはずだ」、ということで、ラテン語の歌詞はすべてフランス語読みだった。小ミサ曲のKyrieの部分はぼくがこれまで聞いていた歌詞と違いは無かったが、2曲目のSancutusに入った途端、「サンクトゥス」が「サンクティス」になり、「ドミヌス」が「ドミニス」になっていた。以下、数え上げればきりがない。
 Cantique de Jean Racineもぼくが大好きな曲だが、通常の演奏と違って、前半部分が繰り返して演奏された(と思う。好きな曲だが、もう久しく聴いていないので、勘違いかも知れない)。
 有名なレクイエムも、今日通常演奏される7曲ではなく、最初には無かったとされる第2曲のOffertoireと第6曲のLibera meは演奏されなかった。もちろん「レクイエム」ではなく「レキエム」だ。
 もう一つ書かねばならないことは、演奏される楽器が、すべてのパートが一人ずつだったことだ。こんなのも初めての経験だ。
 演奏内容はいずれも素晴らしかった。独唱と楽器の演奏者はプロだから、それなりの演奏ができてあたりまえだと思うのだが、アマチュアの合唱団(とは言え、コンクールで全国優勝したこともあるのだが)である「うたおに」の演奏も、指揮者の考えを忠実に声にしていたと思う。
 アンコールではAve verum corpusが演奏されたが、これもフォーレの曲かと思ったら、サン-サーンスの曲とのことだった。もちろんこれも、フランス語訛りのラテン語だった。アンコールの2曲目は第2ステージのCantique de Jean Racine。
 とにかく、最初の期待を大きく裏切られ、満足できる演奏会だった。普通の曲を普通に演奏しても面白みが無いものだが、やはり趣向が凝らされた演奏は、それなりに満足できるものだと思った。
 「うたおに」による解説、感想はこちら

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コメント

「うたおに」は羽根先生がおやめになってからずいぶん変わったと聞いています。

 津は音楽の水準の高い街ですので、どうぞ楽しんでください。

 高校に常勤の音楽の先生がきちんとおられて、しかるべき才能を発掘して東京の音大に送り出す。その中には世界的に羽ばたく人もあるけど、津に戻ってくる人もある。そんな構造が今の隆盛を作っているひとつの要因でしょう。
 
 それにしてもお好みの曲目が並びましたね。

投稿: chunzi | 2008年1月11日 (金) 23時14分

chunziさん、どうもです。
満足して帰ってきました。
普通の高校に常勤の音楽の先生が配置されているというのは、音楽科のある高校が無いということも関係しているんでしょうか?
ぼくの出た高校は、当時は非常勤で、満足できるものではありませんでした。

投稿: Ohrwurm | 2008年1月11日 (金) 23時48分

 フォーレク、「演奏される楽器が、すべてのパートが一人ずつ」でした?
 5曲のみと言うと原典版(普通演奏されるフルオーケストラ版はフォーレの弟子が編曲した第3版です)じゃないかなあと思うのですが、編成はヴィオラ8、チェロ4、コントラバス2に、ヴァイオリン、ハープ、ティンパニが1本ずつ(あとオルガン)だったと思います。
 CD持っていないので弦の下3パートの人数があやふやですが、弦全部1人にするのは辛そうですが。
 独唱バリトンはいました?

 いずれにしろ、面白いプログラムですね。ラシーヌはFMで一度聴いたことがありますが、良い曲ですね。CD欲しいです。

投稿: まーしゃる | 2008年1月12日 (土) 01時00分

まーしゃるさん、コメントありがとうございまず。
 楽器は、ヴァイオリン1本、ヴィオラ2本、チェロ2本、コントラバス、ハープ、オルガン、ティンパニがそれぞれ1という編成です。こんな編成でフォーレのレクイエムができるとは思いませんでした。
 バリトンソロが出てくるOffertoireとLibera meが演奏されませんでしたので、バリトンソロはありませんでした。初演ときに演奏されたのが今回演奏された曲であり、楽器の編成だった、ということらしいです。
 いずれにせよ、普通じゃなくて面白い演奏会でした。

投稿: Ohrwurm | 2008年1月12日 (土) 09時09分

公立高校に音楽科がないので、菊里に行くことができると聞いたことがあります。

 津高をはじめとして多くの主要高校に音楽、美術の正規の教員がいます。

 羽根先生、稲葉先生もそうでした。養正コーラスを育てた前田先生もです。

 三重高の音楽科の役割も大きかったのですが、近年廃止になってしまいました。音楽を学ぶ生徒はむろん、ピアノを習う子供そのものが激減しているようですね。

 ESTの向井先生は数学の先生なので、合唱連盟ではいじめに遭っている?という噂もあります。張本人と噂されるのは菰野高校から津高に転勤した奴^_^;。

 ラシーヌはそのうちまた歌ってみましょう。楽譜はまだ持っていると思います。

投稿: chunzi | 2008年1月12日 (土) 09時11分

chunziさん、どうもです。
公立で越県通学あり、ですか。
 ぼくの高校の音楽の先生は、年寄りの非常勤の女の先生でしたけど、3年先輩で(ということは、入れ違いでしたけど、夏休みなどに部活の指導には来てくれました)東京芸大の声楽科に現役で進学した人がいました。もちろん、どこかで個人レッスンを受けていたんでしょうけど。その先輩はその後コンセルバトワールに進み、現在はパリに住んでいると思います。
 フォーレのレクイエムは大学に入った年に一緒に歌いましたけど(指揮はセンセでしたっけ?それともネコさん?)、ラシーヌはステージでは歌っていないですよね。合宿か何かのときに歌ったようなかすかな記憶がありますが。度重なる引っ越しで楽譜がどこにあるかわかりませんけど、ラシーヌの楽譜はすぐに見つかると思います。ピアノ伴奏譜の最初の部分だけは指が覚えていて、気が向いたときにポロポロとピアノの鍵盤を叩いています。

投稿: Ohrwurm | 2008年1月12日 (土) 10時04分

フォーレクは田所さんの指揮でした。

 ラシーヌは2回生の夏合宿、4年生の春合宿で歌っています。

 そういえば長い間ご一緒に歌ってませんね。そのうち是非。奥様の伴奏でフィガロの重唱でもできそうですね。実は私はスザンナが何より苦手なんですけど^_^;。

 滋賀県も、石山高校に音楽科ができるまで、堀川高校に越境できました。もしかしたら今でも美術科(銅駝?)には行けるかもしれません。

 三重県出身の音楽科は多いでしょうけど、なんといっても亡き山路芳久さんですね。ずっと先輩では作曲家の野田てる行さん。

投稿: chunzi | 2008年1月12日 (土) 23時15分

 フォーレクは結構やっている方が多いんですねえ。編成が編成なんでそう簡単にはできないと思いますが。
 私もバストロンボーンでやりましたが、どちらかというと歌で参加したかったです。

投稿: まーしゃる | 2008年1月14日 (月) 18時03分

chunziさん、よう憶えてはりますなぁ。色々なことがありましたけど、断片的にしか思い出せません。今は、風邪で腹具合がおかしいですし、頭もボーッとしているからよけいにですけど。

投稿: Ohrwurm | 2008年1月14日 (月) 20時27分

まーしゃるさん、オケで参加されたことがあるんですね。ぼくが歌った時はピアノ伴奏でした。でも、入学してから最初の演奏会でしたので、その点では印象深いです。と言いながら、指揮者が誰だったか思い出せなかったりするんですけど。

投稿: Ohrwurm | 2008年1月14日 (月) 20時30分

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