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2007年9月24日 (月)

永田輝喜治著『食は土にあり−永田農法の原点』

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永田輝喜治(ながた・てるきち)著『食は土にあり−永田農法の原点』
2003年6月24日初版発行
NTT出版株式会社
ISBN 4-7571-2115-6
1,600円+税

 永田輝喜治氏の『永田農法 おいしさの育て方』に続く著書である。基本的な考え方は『永田農法 おいしさの育て方』に述べられているとおりで、作物の原産地の気候風土に合わせ、肥料も水も極限まで控えることによって作物の美味しさを引き出すというものである。
 1980年代末から1990年代始めごろ、国の農業試験研究機関から栽培や土壌肥料の分野の研究が大幅に削減され、それらの分野の研究者は半ば無理矢理関連の他分野へ転向させられたりして、現在では栽培や土壌肥料の研究はほとんど壊滅状態だと言っても良い。かつての栽培や土壌肥料の分野の研究は、ただひたすら増産を目指すものであり、美味しさを目指したものではなかった。近年は、国の試験研究機関における研究でも、美味しさとか機能性とかいう合言葉での研究が増えてきたが、考え方はあくまで育種中心であり、栽培や土壌肥料は軽視されていると言っても過言ではない。
 この本を読んで気付かされたのは、当たり前のことを当たり前に考える、という考え方が重要であり、自然の法則と矛盾しないものである。
 つい最近、有機農業促進法なる法律ができたが、自然を自然な目で見る立場からすれば、有機農業促進法は頭の中だけで考えられて作られた法律で、宗教的だと言っても誤りではないと思う。
 それに対して永田氏は、実践を重視しているものの、その実践に裏打ちされた考え方は合理的であり、頭の中だけで考えた有機農業よりも科学的だと感じられる。
 「永田農法」などという個人の名前を冠された農法は一見いかがわしいように感じられたが、少なくとも宗教的ではなく、真面目に研究対象として取り組んでもおかしくないものだと思われた。
 害虫研究者の立場から言えば、永田農法を実践するにあたり、病害虫との関係ではもっと明らかにしなければいけないことがあると思った。
 「永田農法」では、肥料や水を制限することによって、えぐみの少ない野菜を作ることができ、それによって病害虫も少なくなる、という趣旨のことが書かれていたが、えぐみとは本来、植物を食べる動物に対する防御物質として植物が生産する化学物質である、というのが定説であり、えぐみが少ないということは、害虫に対する防御物質を欠くことになるので、害虫の被害が増えると予想されることになる。このことは、現時点では納得できないことであり、今後解明すべき研究課題になると思う。

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