名古屋昆虫同好会2007年総会
朝から強風が吹き荒れていたので、行こうかどうか少し迷ったが、一応幹事の末席に名前を連ねているので、行かないより行った方が良いと思い直して、出かけることにした。予想した通りだったが、名古屋ではところどころ雪で地面が白くなっていた。
まずは毎年新年に行われる総会での恒例の会長の挨拶。昆虫同好会の社会的な地位について様々な点から指摘があり、自分たちの活動が仲間内(日本全国の昆虫愛好家の間)では認知度は高いものの、その地域では全く目立たないのはやはりよろしくない、との指摘。目立つことはそれと同時に失敗をすれば同時にそれも目立ってしまうという危険性を孕んでいるものの、もっと社会的に正当に認められるようになる必要があるといういうこと。そのためには、記録を報告として残すことが重要だ、ということ。これは、研究者が論文を書くということと同じだ。地域によっては、大学の昆虫学関係の研究室とも緊密な関係を持ち、健全に後継者を育ててている同好会もあり、縦の繋がりも作ることは有効だが、名古屋の場合、大学との縁が全くないというのは何とかしたいという指摘もあったが、これは多くの会員が感じていることではなかったかと思う。多くの大学の昆虫学関係の研究室の場合、基礎科学や応用ばかりで、地域のアマチュアの研究家や愛好家は相手にされていない。大学院の学生の定員がかつてと比べれば増えているので、学生の指導の負担も増えているだろうし、業績評価が異様に厳しくなっているので、成果を上げることに力を注がなければならないし、予算獲得のために努力をし、その予算を獲得したことの領収書的な成果報告もしなければならないのは大変なことだとは思うが、基盤を担っているアマチュアの存在も忘れて欲しくないものだと思う。
議事の後は、恒例の記念講演。今年は四日市市在住のトンボ研究家の石田昇三さんの『トンボという昆虫について』というもの。話はトンボにとどまらず、昆虫が誕生してからどのようにトンボが生まれたのか。また、様々な昆虫の中で、他の昆虫とトンボはどんなところが違うか、ということなど。大学で昆虫学を学んだことのある人なら、それほど目新しい内容とは感じられなかったかも知れないが、話術が巧みであったので、今後自分がどこかで話をするようなときには、どんな話し方をすれば良いか、という点では非常に勉強になったと思う。もっとも、すぐに真似できるというものでも無いと思うが。
夕方は場所を変えて寿司屋での懇親会。自分は酒は飲まないが、虫をネタに楽しい話をするのは好きだ。会誌に原稿を書いてもらえるよう、報文の書き方のコツなどを聞いてもらった。会誌は同好会の顔だから、社会的な地位を得るためにも良い物を作らなければならないと思う。
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