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2006年11月17日 (金)

ハサミムシの話題

 日本直翅類学会から学会誌のTettigonia No. 8と連絡誌のばったりぎす139号が届いた。Tettigoniaには西川勝さんによるハサミムシの報告が3編掲載されてした。
 最初のは与那国島からのニセミナミクギヌキハサミムシ Forficula planicollis Kirby, 1891 の記録。石垣島に住んでいたとき、ミナミクギヌキクギヌキハサミムシ Forficula hiromasai Nishikawa, 1970 と識別ができない与那国島産のハサミムシの幼虫を、同僚だったTさんからいただいていた。ミナミクギヌキハサミムシは沖縄本島から九州南端までの記録はあるが、宮古諸島、八重山諸島からは知られていなかったので、そのハサミムシがミナミクギヌキハサミムシではなく、台湾に分布する別種だろうと思っていた。しかし、幼虫だったので何とも同定のしようが無かった。それはおそらくニセミナミクギヌキハサミムシなのだろう。
 2番目は男女群島で採集されたオオハサミムシ属 Labidura の一種の記録(足立 2003)が、実はミナミクギヌキハサミムシだったというもの。ハチジョウススキ Miscanthus condensatus Hack. を叩き網採集で得られたと書かれていたので、足立(2003)を読んだときからこれは何かの誤同定だろうと思っていたが、その実態が明らかにされたわけだ。オオハサミムシの仲間は基本的には地表性なので、叩き網採集で得られることは、まず無いと言って良いのだ。それに対して、クギヌキハサミムシの仲間は植物によく登っているので、しばしば叩き網採集で得られる。
 3番目は何かに紛れて外国から入ってきたクロハサミムシの一種 Marava arachidis (Yershin, 1860) が奈良県で採集されたというものだ。ハサミムシの仲間には物陰に隠れる習性を持つものが多いので、物資と一緒に海外から侵入する可能性は少なくないだろう。 Marava arachidis は汎熱帯種だということだ。おそらく日本に定着することは無いだろう。
 最後の種は偶然侵入したものがたまたま発見されただけなので、日本に棲息している種として数えることにはならないだろうが、与那国島のニセミナミクギヌキハサミムシは定着していることは間違いないだろうから、日本産のハサミムシがこれでまた1種増えたことになる。

文献

  1. 足立一夫. 2003. 男女群島で採集した昆虫類(その1). 新筑紫の昆虫 (7): 41-74.
  2. Nishikawa, M. 2006. Forficula planicollis Kirby, 1891 from Yonaguni-jima Island. Japan (Dermaptera: Forficulidae). Tettigonia (8): 13-14.
  3. Nishikawa, M. and Adachi, K. 2006. Identity of the erawig recorded as Labidura sp. from Me-shima Island, Danjo-guntô Islands, Japan (2003). Tettigonia (8): 15-16.
  4. Nishigawa, M. The chief earwig Marava arachidis (Dermapera: Spongiphoridae) incidentally introduces into Nara Prefecture, Japan. Tettigonia (8): 17.

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