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2006年8月22日 (火)

アサギマダラの移動

 NHKテレビの「クローズアップ現代」でアサギマダラ Parantica sita niphonica (Moore, 1883) の移動の調査について取り上げられた。自分も、アサギマダラが長距離移動をすることが明らかになった四半世紀以上前から興味をもっていたが、実際に調査に参加するようになったのは、アサギマダラが身近に見られる石垣島に住むようになってからだ。石垣島に住んでいた頃、和歌山県と高知県でマークされたアサギマダラをそれぞれ1頭ずつ捕獲したが、遠くから飛んで来たことを自分の目で確かめることができて、やはり感慨深いものだった。
 今日のような番組で取り上げられるようになったということは、やや意外ではあったが、アサギマダラのマーキング調査が一部の愛好家だけでなく、一般の人にもそれだけ浸透していったということだのだろう。近年調査に参加する人が増えて、ますますデータが厚くなってきたと思う。
 自分はかねてから、アサギマダラの移動の主な要因は季節風による「風任せ」であろうと主張して来たが、数年前まではほとんど理解されていなかったように思う。今日の番組では、奄美大島から鹿児島県指宿への2日間での移動が、そのときの気流によると考えられるという説が紹介されており、自分の考えが間違っていないのだという自信を強めた。もちろん、風任せだけではなく、陸上では地形や吸蜜のための植物の存在も重要な意味を持っているだろう。
 アサギマダラの生態というと、成虫の移動の問題ばかりに焦点が当てられるが、幼虫の餌の問題、天敵の問題等を総合的に考察することにより、さらにアサギマダラの生態の本質に迫ることができるだろう。アサギマダラの移動に興味をもってマーキングに参加することからアサギマダラの問題の解決に参加するようになった一般の人たちのなかから、さらに深くアサギマダラの生態、さらには他の様々な昆虫の生態に興味をもってくれる人が出てくること祈りたい。
 今日の番組では、参加しているメーリングリストで名前だけを知っている人がたくさん登場した。電子メールの文字だけ見ているのと、顔がわかるというのでは、大きな違いだ。それはともかく、こちらに転居してからアサギマダラに接する機会が少なくなってしまっているが、何とかもう少し参加できるようにしたいものだ。

参考文献

  • 河野勝行. 2000. 八重山のアサギマダラ.昆虫と自然 35 (6): 18-22.

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