シマトネリコの樹皮をかじるカブトムシ
Journal of Ethology Vol. 24, No. 3 が届いた。かなり個人的な理由だが、冒頭の論文にはちょっと衝撃を受けた。その論文の主な内容は、カブトムシ Allomyrina dichotoma Linnaeus, 1771 がシマトネリコ Fraxinus griffithii CB Clarke の樹皮をかじって、樹液をなめる、というものだ。極端に言ってしまえば、ただそれだけだ。
カブトムシと言えば、普通は他の昆虫などによってつくられたクヌギ Quercus acutissima Carruth やコナラ Quercus serrata Thunb. ex Murray などの樹皮の傷から滲み出す樹液をなめるのが普通だが、腐った果実にも来るから、食性が狭いというわけではない。しかし、自分で植物に傷をつけて、そこから滲みだす樹液をなめるというのは、新しい知見だということらしい。
実は、もうかなり昔の話だが、岩手県雫石町に自生するデワノトネリコ Fraxinus japonica Bl. var. stenocarpa (Koidz.) Ohwi. の細い枝に集まる多数のカブトムシを見たことがある。よく見てみると、カブトムシが自分でかじった樹皮から滲み出す樹液をなめていた。そのときは、そういうこともあるもんだ、と思って、特に目新しいことだとは思わず、どこかに報告しようなどとは考えもしなかった。しかし、実は新しい知見だったらしい。これが報告になっていれば、自分が発見者ということになっていたことになるが、そうとは思わなかった自分が不勉強だったのだから仕方がない。
この論文では、調査地の京都では在来ではないシマトネリコが摂食の対象になっていたが、自分が観察したのも、シマトネリコと同じトネリコの仲間のデワノトネリコだ。トネリコの仲間の樹皮には、カブトムシにとって魅力的な何かが含まれているのではないだろうか、と思う。
カブトムシのかじりとり行動の映像は動物行動のデータベースのサイトで見ることができる。
http://www.momo-p.com/showdetail-e.php?movieid=momo050525td01a
この論文ではカブトムシの学名が Trypoxylus dichotomus septentrionalis になっていたが、どちらが有効なのか、自分にはよくわからない。
参考文献
- Hongo, Y. Bark-carving behavior of the Japanese horned beetle Trypoxylus dichotomus septentrionalis (Coleoptera: Scarabaeidae). J. Ethol. 24: 201-204, 2006.
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